メタ要素のあることが前提にプレイするADV『Alice’s World』のレビューとクリア後感想を書いていく。レビューはネタバレなし、クリア後感想はネタバレあり。
リリース日からしばらくの連日アップデートでテキスト修正や演出調整など行われていたようで、落ち着いた頃を見計らったバージョンのプレイ。
目を覚ますと本で読んだファンタジーの世界にいた少女アリス。
プレイヤーの声が聞こえるアリスを元の世界に帰してあげるため、プレイヤーは指示を出して導いていく。
ゲームとしては2D横スクロールで、探索・謎解き系のアドベンチャー。
ジャンプや攻撃ボタンなどアクション要素はほぼなく、オブジェクトを調べてアイテムを手に入れたり使ったり、情報を得たりのインタラクト要素がメインになっている。
Alice’s Worldの大きな特徴は、はじめからメタ要素がオープンであることと、ゲームを利用したメタ表現をこれでもかと詰め込んだ欲張りセットであることだ。
アリスを導く話とは別に、要所でメタい話をしてくる謎の少女との会話パートがある。
ここで具体的なメタい内容は書かないけれど、この手のゲームのメタ表現を知らない人だったら経験したことのない衝撃の連続になることだろう。
逆にこういうのが好きで惹かれた人にとっては、どこかで見たことのある表現ばかりで真新しさは感じないかもしれない。
とはいえ、それだけがすべてではなくて、アリスを導くパートと謎の少女パートが最終的にどう交差し終点に向かうのか、メタ要素を主題としたゲームの結末として考えさせられるものがあったので、メタ要素のあるアドベンチャーゲーム経験有無に関わらず体験してほしいと思う。
ストア概要に『Ibやゆめにっきに影響を受けた』と記載されていたのが興味を持ったきっかけの一つだったけども、Ibやゆめにっきを思わせるものはそんななかったように思う。どちらもプレイしたのが相当前だからちゃんと覚えているわけでもないけど。
それより、もう一つ惹かれたメタ要素の方がやっぱり最大の特徴で、色々とメタ描写のあるゲームを経験したことのある側の率直な感想としては、大体は見たことのある表現だったけど、あれもこれもとメタ表現を詰め込んでくるのがやり過ぎなくらいで段々おもしろくなってきてた。
それに、終盤の「人間かNPCかって、大事なことですか?」とか、真実を知ったアリスにどう接するかなど、最初からメタ要素がオープンだったからこそ悩ませてくれる部分は新鮮だった。
自分をNPCだと認識したときのキャラクターの異常な行動や反応が見れたけど、もしも自分たちが現実だと思っているこの世界が実は仮想現実でそれに人類が気付いてしまったとき、自分は人間であることを証明したくなるのかな。とかも考えさせられた。
逆にゲームを利用したメタ表現を経験したことのないプレイヤーにとってどうなんだろうと考えてみると、色々なメタ描写をひとつまみ感覚で消化していくから一つ一つの体験は薄味で少々もったいないかもしれないと思った。
なんにせよ、これでゲームのメタ表現に興味を持ったとしても『メタ表現のあるゲーム』で探さないでほしい。大体のメタ要素はオープンじゃなくて、ゲーム中に気づかされるものだから事前に知ってしまうと本来とは異なる体験になってしまうからだ。
最後に、このゲームはマルチエンディングだけど自分は1つしか辿り着いていない。アリスを救いたいという気持ちで行動した結果、真・エンドらしいエンディング0をクリアした。
Steam実績とPVを見れば他エンディングがどういったものかなんとなく察することができるし気になる気持ちはあるけれど、エンディング0のアリスを見送ったからにはやり直してアリスを連れ戻すのは野暮だと思ったからだ。もちろん、最初からやり直すのがちょっと面倒というのも多分にある。