新作でありながら何故かEpic Gamesで無料配布されていたスペースシューティングCYGNI: All Guns Blazingレビュー。
数百年前に人類が植民地化した惑星CYGNI。あるとき突如現れたエイリアンの攻撃によって壊滅的な打撃を受けた人類は残り少ない戦力で生き残りをかけた最後の戦いに挑む。
人類がピンチなのはシューティングゲーム世界のお約束! とはいえ敵は意思疎通のできないエイリアンで味方も主人公以外ゲーム的に重要なキャラクターはいないのでストーリーはあってないようなものなのもお約束。
元映像業界の経験者がいるチーム制作ということで3Dアニメーションはかなり豪華で見栄えはいい。
ベースは縦スクロールのシューティングだけど既存のシューティングに当てはまらない部分が多い。
攻撃手段は通常ショット、ビーム、ミサイル。アップグレードで通常ショットを光線に切り替えたりできるが基本的にこの3種。
通常ショットはコントローラーなら右スティック、キーボード&マウス操作ならマウスでショット方向を調整できるのが特徴で縦シューティングはコントローラーでいつも遊ぶけどこの照準操作があるからキーボード&マウスで遊ぶのもありだと感じた。
あと通常ショットはボタン押しっぱなしにしなくても自動射撃モードがあるのはよかった。1ステージが長いからこれがあるとないとで疲労的なストレスの差は大きい。
ビームは対地上用の攻撃だが地上の敵はやたら固い敵ばかりだし対空中の相手を優先した方がいい場面が多いからあんまり使いどころはなかったように思う。
ミサイルは消耗品の攻撃で通常ショット+α程度の火力でいわゆるボムというものはCYGNIにはない。その代わり消耗品といってもそのエネルギーは連打してられるほど頻繁に手に入るシーンが珍しくないので通常ショット同等のメインウェポンといえる。
難易度ノーマル以上は残機なしだけど自機にはシールドがありシールド数が実質の残機数になる。シールドは最大6枚ストックで敵が落とすエネルギーを拾うと回復する。全体的に敵は多くて硬いうえに素早いのである程度は被弾前提のバランスになっているであろうことはエネルギーがよく出ることからもわかる。
エネルギーはミサイルのエネルギーと共有していて、シールドとミサイルのエネルギーはボタン1つで瞬時に変換して使い分けられる。
このエネルギー変換は戦略的な要素で残機の確保にシールドを維持したいけどだからってミサイルを撃たなければ敵が減らなくて被弾のリスクが増えるというジレンマになる。
さっき書いたように敵は多いうえに固めでどうやっても取り逃す敵が出てくるから一掃する爽快感は得にくい。
ステージクリア時のポイントで自機をアップグレードする要素はあるけど大体はちょっとした機能追加で攻撃力アップのような基礎ステータス上昇とかはない。
チュートリアルで説明されたホーミングショットが実は初期にはなくてアップグレードで使えるようになるとか、メインモードとアーケードモードでアップグレードの画面が違って混乱するとか随所で不親切なところがある。きっと初見でアップグレードの内容は理解できないだろうけど取り返しのつかない要素はないので気にせずてきとうに触ってみよう。
ステージは全7ステージ。ストーリーが描かれるメインモードはステージ終了ごとにステージ選択画面に戻ってアップグレードや過去ステージの再プレイ、難易度選択ができる。
難易度は3段階で敵の早さ、弾幕の濃さなどに影響。アップグレード要素があるから最初はイージーである程度の機能をアンロックしてからノーマルに挑むと遊びやすいと思う。
1ステージ10分~15分のシューティングとしては長期戦でノーマル以上は残機なしの1回やられたら最初からやり直しというシビアなルールだから無理しない難易度で遊ぶ方がストレスがない。
アーケードモードは最初にアップグレードを選択したら全7ステージぶっ通し約80分コース・コンテニューなしなのでクリア後のランキングを競うやり込み要素。
あとはローカルの2P協力プレイもある。敵の多さと硬さは協力プレイを考慮しているのかもしれない。
デフォルトは難しい設定になっているからゲームをはじめる前に調整を推奨したい。
・カメラ振動 50% → 0%
シューティングゲームの画面揺れは致命的で敵弾幕が見づらすぎる。
・シールド/エネルギーのHUDを表示 オフ → オン
自機周りに表示されるシールドとミサイルのエネルギー残量を画面下にも表示できる。自機周りだけで十分ならオフのままでもいい。
・プレイヤーHUDを常に表示 無効 → 有効
上のシールドとミサイルのエネルギー残量の表示を常に表示できる。無効だとエネルギー取得や使用、変換したときしか表示されないのでふと残量確認したくなったとき一手間かかる。
・船の移動スピードの感度 5 → 1
好みによるだろうけどデフォルトの感度は相当高くて1でも全然スピードに困らなかったから下げてもいいと思う。
・コントローラー自動射撃 割り当て
コントローラーのボタン割り当てに自動射撃が割り当てられていないからプライマリファイア(通常ショット)と変えていい。
ちなみにEpic版ではXboxコントローラーしか認識せず、デュアルセンスとswitchプロコンは認識しなかった。
一目見てわかるグラフィックの美しさは文句なくシューティング画面にも違和感なく落とし込めている。ただグラフィックと同様に雰囲気作りをしてくれて繰り返し同じステージを遊ぶうえで飽きさせないためのBGMは単調で印象に残らなかった。敵のデザインもあまり変わり映えしなくてラスボスも最後の戦いを感じさせる特別なものとは思えなかった。
通常ショットの方向調整でエイムできるのは楽しかったけど特定のポイントを狙うみたいなゲーム性はあんまりなくて生かし切れてなかったように思う。敵が固すぎたからミサイルの威力をもっと上げるかエネルギー6つ消費とかでいいから画面内全消去できるボムは欲しかった。いくら美しいグラフィックがあっても忙しくて画面全体を見渡す余裕がないと見逃してしまうんだよね。
シールドとミサイルの残量を共有して攻撃と防御どちらに割り振るかいつでも切り替えられるのはおもしろポイントだった。被弾が即撃墜=悪じゃないルールは取っつきやすくてよかった。
1ステージ10分~15分のボリュームは1回切りの体験だったらそれでもいいけど、繰り返しプレイが前提のシューティングと考えたらやっぱり長い。この長さで繰り返しプレイにするなら道中で手に入るアイテムがランダムに変わるみたいなローグライク要素がないと厳しそうだ。それかせめて間に中ボスを出して気分を変えてほしかった。
公式で次世代シューティングのパイオニアを自称するだけあって既存のシューティングゲームのルールに捉われない新しいことに挑戦しているのはわかる。それが成功したかどうかはこれからの評価でまた別の話だけども目指したことをやり切ったとは思える。
開発にはたぶん関わっていないけどパブリッシャーはコナミが担当している。
プロローグムービーで一瞬映るPCエンジンとグラディウスは歴史あるシューティングの名作としてささやかなゲスト出演だけどもほとんどのプレイヤーは見逃すか、もはや知らない気がする。