Clair Obscur: Expedition 33 クリア後感想

※ストーリーのネタバレが含まれます。

クリアして大変満足な余韻を残したままクリア後感想を書こう。
Act2はそこそこ寄り道して、Act3はほぼ直行でクリアまでプレイ。

ストーリーと演出について

Act1からプレイヤーの知らない専門用語が飛び交い、登場人物同士で通じてる話をよくしてくるためストーリーの理解が難しく、しばらく状況に流されるまま展開を見守ることになるのだけど、『ペイントレスを倒すためにモノリスへ向かう』という明確な目的が設定されているおかげで細かい話がわからなくても大筋を見失うことなく物語を追えることができたのはよかった。

第33遠征隊の壊滅からはじまり、Act1の最後にはギュスターヴの死という衝撃的な展開が訪れてこの世界がいかに過酷で容赦ないものかを強く印象付けられることになるAct1。
突然現れたヴェルソと因縁深いルノワールの関係に翻弄されながらも、当初の目的がブレることなくペイントレスを倒してモノリスの数字の呪いから解放されるところまでやり遂げた。その後にまたとんでもないことが起こるんだけど、第33遠征隊としての物語はそこでしっかり終わりを迎えたAct2。
そこからは上位世界の存在みたいな話が絡んで別視点の物語に移るけど、これまでの伏線を回収し、本作の世界とマエルの物語を完結させるために必要な壮大なエピローグのようで、Act3は終幕として綺麗にまとまっていたように思う。

演出面は素晴らしく、映像や音楽がここぞという場面を最大限に盛り上げてくれた。特にボス戦の演出は圧倒的で、戦闘の入り方や一部ボス戦にあるフィニッシュ演出はどれも本当にカッコよかった。世界観の勢いと雰囲気の作り込みに関しては、最近プレイしたゲームの中でも随一と感じるほどの完成度だった。

2つあるエンディングについては、話の流れ的に『ヴェルソとして戦う』が綺麗に畳まれた感じ。
最後にマエルを除いた消えゆく仲間たちがヴェルソに何も言わない、この静かな演出はただの哀愁ではない、ヴェルソの決断を尊重してくれたような関係性と余韻を残してくれた。その中でもルネは何も言わないもののちょっと不満気というか、言いたいことがあるような雰囲気を残してるのはとてもルネらしかった。
一方の『マエルとして戦う』のエンディングは異様な雰囲気を纏ったもので、マエルにとって都合の良い世界を作り上げた狂気感が凄くて、ギュスターブが登場しても嬉しいって気持ちになれないのがあえてそう見せているんだろうけど恐ろしさが際立って印象に残った。

わからないままのことを一つ挙げるなら、ペイントレスがあのまま倒されなかったらあと十数年後にはあの世界の人類全滅するんだけど、ルノワールはその後どうするつもりだったんだろう?
いっそのことヴェルソを殺してしまえばあの世界を継続する意味がなくなると思うけど、いくら描かれた存在に過ぎないといっても息子は殺せなかったのかな。

戦闘について

戦闘システムの核となるパリィ(回避)は、敵ごとにモーションが異なるおかげで最後まで緊張感と成功したときの爽快感を味わえるアクション要素が楽しめた。
序盤の敵は直感的な反応でパリィを成功させやすく、ゲームが進むにつれてフェイントやディレイをかけてくる敵が増えて鬱陶しくはなった。でもこれは、プレイヤーの成長を見越した調整だろうから納得はできる部分ではある。

敵の状態異常攻撃や即死攻撃といった厄介すぎる攻撃前には、事前にテキストメッセージでわかるようになってるから理不尽さは薄まってる。それでも、うっかり全体沈黙を喰らったら数ターンやることない状況とか、自キャラの攻撃属性の相性によってダメージが全然通らないとか戦闘が停滞する虚無の時間がたまにあるから、戦闘中のメンバー入れ替えはできてほしかったと思う。

攻撃側のQTEはタイミング一定で変化がないから単調になりやすかった。もし敵側にQTE妨害デバフがあり、成功範囲が狭くなるとか画面端っこに出現するようになるといった失敗リスクが増す要素があれば、攻撃時も少しは緊張感が生まれてよかったかもしれない。

ピクトスとルミナの組み合わせを考えるのは非常に楽しく、思っていた以上に自由度の高いビルド構築を組むことができた。ただ、色々試したかったからビルドのマイセット機能は欲しかった。ルミナのお気に入り設定はあったものの、全キャラ共有されてると微妙でキャラ個別にお気に入り設定できると快適だったと思う。

探索の豊富さは魅力のひとつだけど、そこで手に入る強力な武器やピクトスによって自キャラが強くなりやすかったから最初の印象ほど難しすぎるってことはなかった。
早めにダメージ上限9999が出るようになってたから、9999が出せる前提で戦闘バランスを取ってたようにも見えた。Act3に入って上限突破できるようになるとストーリー上の戦闘が楽になってしまったけど、一つの物語を終えて強くなったことを実感できる調整だったのかもしれない。

探索について

探索範囲は非常に豊富で一度のプレイで全てを網羅するのは難しいはずだ。
マップがないからたくさん見逃しただろうし、遭遇した時点でぶち抜けた強敵はあえなくスルーしてるとこもあるから、そこはやり込み要素として後々挑戦する楽しみへと繋がっていくのだろうね。
マップのないことが良いか悪いか評価は難しいけど、個人的には「こりゃ探索しきれない!」と割り切った見逃し前提でプレイすることになったからスムーズに進めたとも思える。「全部回収しないと進めたくない!」って性質だったら危なかったかも。

Act3から訪れることができるエリアになるとストーリー上の敵よりも遥かに強い敵が待ち構え、クリア前からその存在を見せることでやり込み要素への期待値を高めてくれたと思う。
ただ、もしクリア前にそれらの強敵に挑戦しだして成長しすぎてしまった場合、ストーリーの戦闘が拍子抜けする可能性があるからプレイヤー次第で評価が分かれる部分になりそうではある。

探索することで強くなれるのは探索し甲斐があるものの、クリア前の戦闘バランスに影響が出る可能性があるのは調整が難しいところなんだろうな。

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