高評価のフランス産JRPGの”なんとか33″として話題になっているClair Obscur: Expedition 33(クレール オブスキュール: エクスペディション 33)をAct1クリアまで(約8時間)プレイした時点でのレビュー。
【ストアページ】
Steam
Xbox(2025/5/11 Game Pass配信中)
PlayStation 5
『ペイントレス』と呼ばれる少女が年に一度呪いの数字をモノリスに刻み、その年齢の人々が煙となって消えてしまう世界。年々1つずつ呪いの数字は小さくなり呪いの数字が33になる日、ペイントレスを倒すため第33遠征隊が旅に出る。
ターン制のコマンドバトルにアクション要素を大胆に取り入れたスタイルが特徴的。敵の攻撃タイミングに合わせてボタンを押すことで回避やパリィを狙うことができる。どちらも成功すればダメージを受けず、パリィは成功猶予が短く難易度が上がる代わりにスキルを使用するためのAPを回復したり、反撃をすることができる。ここでは割愛するけどジャンプで回避する攻撃もある。
ターン制のコマンドバトルにこういったQTEアクション要素を取り入れたものはあるものの、完全にダメージを受けないのは珍しい。その代わりなのか被ダメージは大きめで長期戦になるボス戦、強敵との戦闘では回避、パリィが必須テクニックといえる。なのでトライ&エラーで攻撃パターンを覚える高難易度アクションのような遊び方になり、ターン制ではあまり味わえないプレイヤーの成長を感じることができる。
攻撃時もタイミングよくボタンを押すことで効果は上がるが攻略する上で大事なのは上記の防御時で、楽しさで言っても攻撃時はタイミングを覚えて慣れてくると同じことの繰り返しだから新しさは感じにくいが、防御時は敵によって攻撃動作が変わりタイミングを探る時間が生まれるため、これによって戦闘が単調にならないのは魅力だ。
本作のような回避、パリィアクションがある高難易度アクションゲームもよく考えたらターン制みたいなもので敵の攻撃中は基本的にこちらは受けに回り、敵が隙を見せたらこちらの攻撃ターンになるところがある。これを明確にターン制にしてわかりやすくした感じで、アクションをベースにターン制を取り入れたという考え方の方が個人的にはしっくりくる。
キャラクターはレベルが上がるとステータスを上昇させるポイントを3つ、スキルを獲得するポイントを1つ得て割り振りする形式。ステータスは5種で回避パリィが苦手なら生命力や防御力に振るとか自由にできる。武器によって補正が乗るというのもあるから最終的に最適解はあるのかもしれないけど攻略中はそこまで考えなくていいだろう。振り直しはアイテムが必要となる。
スキル獲得はツリー形式でキャラクターによって20以上の固有スキルがある。
獲得したスキルから6つまでセットし、戦闘中は毎ターン回復するAPを消費して使用する。ピクトス(装備)とルミナ(ポイント内でセットするスキル)で得られるパッシブ効果との組み合わせによるシナジーを考えるのは非常におもしろい。
アクション要素があるため一定の難易度はあるけど、回避パリィのしやすさに影響する難易度選択がありいつでも変更可能なので難しいなら易しくすることはできる。
明確な目的地があるためストーリー導線は一本道だけど、寄り道や謎解きのような探索要素がありキャラクターの成長に必要なアイテム、装備、見た目衣装などと手に入れたときに満足度高めなものが大体手に入る。消耗品の回復アイテムなどが存在しないからよりそうなっていると思う。
回復アイテムは消耗品ではなく、使用回数があるもので各地にある遠征隊の旗(休憩ポイント)か外フィールドでキャンプすると補充される。休憩ポイントでのみレベルアップ時のポイント割り振りやスキル獲得ができるがわりと頻繁に配置されている。
敵とはシンボルエンカウントになっていて、休憩ポイントで回復するまで復活しないためエンカウントが頻繁に発生して探索しにくいということはない。
ダンジョン的なステージでは全体マップもミニマップもないのは難点で複雑なエリアは迷うかもしれない。ただ前述のとおり、シンボルエンカウントで一度倒せば休憩するまで復活しないので敵を倒してしまえば安全に探索はできる。
楽曲は絶望的な世界を描く幻想的なメロディで表現され、ボーカル付きやオーケストラ楽曲はとても印象に残った。さらにカットシーンの会話のやり取りや人物の何気ない仕草などは感情描写が濃く、表現力と演出面でもクオリティの高さが際立っている。
※Act1内のストーリーネタバレを含みます
Clair Obscur: Expedition 33には記憶喪失だったり異世界からやってきたプレイヤーと同じ視点の何も知らない主人公はいない。そのため、この世界独特の専門用語が飛び交っても誰もそれを丁寧に説明してくれるわけでなく、序盤は物語に置いていかれる感覚が間違いなくあると思う。
しかし、第33遠征隊のメンバーも知らない世界の真実が明らかになっていくことでプレイヤーの知識がキャラクターに追いついていく過程はおもしろく、気付けば物語に没入させられていた。
とりあえず「戦闘がおもしろいらしい」という評判だったからストーリーの期待は後回しだったけど、プロローグで描かれる毎年最年長が消えていく世界と、その死を当たり前のものとして受け入れている人々の独特な死生観には、わからないことが多いながらも強く惹き込まれるものが感じられた。
そしてAct1最後のギュスターヴだ。ゲーム開始時に髭面の紳士を操作することになって「本当にこの人が主人公なのか!? こんな紳士でまともに戦えるのか!?」という不安な第一印象だったが、プロローグでのソフィとのやり取り、第33遠征隊が壊滅した後の何もかも諦めようとした人間臭さ、再会できた仲間たちとの関係性などを見ていくうちにギュスターヴのことが好きになってきてからのアレだ。
スキルがいっぱいロックされてるから成長イベントでもあるのかと思ったら退場するとはやられた。まだAct2入ったばかりのところだから先は見えないが、主人公ポジションがActごとに入れ替わるんじゃないかと勘繰らずにはいられない。
戦闘システムについてはアクションをベースにターン制を取り込んだ印象で、回避パリィの練度を高めることで成長を体感できるのは楽しい。フェイントモーションでタイミングをずらされるのは悔しくてイラつくポイントだけども、そこを読み切って完封できたときの快感は通常のターン制バトルでは味わえないものだ。
クリアまでこの戦闘の
この絶望的な物語と困難な戦いの先に一体何が待っているのか、共に戦う仲間たちと最後まで一緒にいられるのか。それでも ー私たちは進むー