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自由記述の選択で分岐するADV:Inverted Angel レビュー&感想

まえがき

先月に追加シナリオが実装されたver2.00アップデートの頃に買っていたのをプレイしたのでレビュー。レビュー部分はネタバレなし、あとがきの感想部分は1周プレイした範囲くらいの話を含む。

レビュー(ネタバレなし)

ストーリー概要

家に突然やってきたのは「あなたの恋人」を語る知らない女性。
インターホン超しの会話で本当に恋人かのように辻褄の合う話をする自称彼女は一体何者なのか 、話を合わせながら正体を探っていく。

ゲームの特徴

ノベルゲーム形式の会話劇を読み進めながらルートが分岐するマルチエンディングADV。

・自由入力の選択肢
大きな特徴としてシンプルな選択肢ではなく、プレイヤーが自由に入力したテキストをAIが言語処理して、ゲーム側で用意されている内容と一致するものか判定しながらシナリオが進む。
何も一致するものがない、あるいはプレイヤーの意図したものでなければ入力しなおすことができる。

ゲーム開始してすぐに出てくる設問『ストーカー? 実は知り合い? 彼女はどんな人物だろう?』に対して、「ストーカー」と入力すればゲーム側で用意している『見ず知らずのストーカー』という選択肢が出てきてこの選択でいいのか確認される。自分が言いたかったことと一致していれば進めて、思っていたのと違えば再入力するといった流れだ。
こうしてプレイヤーが入力した結果によってストーリーが分岐していく。これが大体のゲームプレイ部分になる。

この形式だと選択肢の数が一見わからないから他の分岐がどれくらいあるのかわからないし、選ばなかった他の選択肢をヒントに今後の展開を予測するとかもできない先の読めなさがおもしろい。想像する選択の中に望んだ結末が果たしてあるのか、プレイヤーの想像力が試される。

・推理パート
特定の分岐ルートに入ると残ライフ制の推理パートがはじまる。

それまでの会話から彼女の正体を推理し、設問に対する回答を入力したらAIの言語処理によって正答が判定される。入力した内容が正答に近ければ判定ゲージが上昇し、一定以上の正答さが認められたら進行する。
全然ゲージが増えなければ違う視点から見直し、微妙に足りなければニュアンスを変えたり補足して正答を導いていく。ただし、NGワードに触れてしまうとライフが減り、ライフがすべてなくなると強制エンディングになってしまう。

ここも選択肢はなく自由入力によって判定されるから、ちゃんと会話を見直して推理することを求められる。推理のためにバックログは深く見返せるけど、ページ送りや一定間隔で区切ったりされていないため少々見返しにくいのは難点。ゲーム内でフォローされるとおり、会話の中で違和感を感じたことはメモするなりで覚えておくとスムーズに攻略しやすくなる。

AIの言語処理はどうしても完璧ではなく、『ABC』と入力するのが正解だとして『AB』だけ入力してもゲージが何も反応しないときがあるので、何も反応がなくても少しニュアンスを変えて粘ってみた方がいいときもある。

・自由入力があるから会話パートも真剣になる
会話の内容は平凡な雑談からストックホルム症候群やチューリングテストなどを主題にした思考実験、哲学的な小難しい話が繰り広げられていく。
後々にテキスト入力することを求められる故に会話劇も雑に流し見はできなくて、意味ありげな会話に本当に意味があるのか、ただそれっぽく見せた雑談なのか、何気ない会話パートも真剣に挑むことになる。

・十分すぎるボリューム
メニューのエンディングリストを見てわかるように、18+α(ver2.00追加分)ものエンディングがある。1周目はルートにもよるけど1時間~2時間、2周目からは共通部分をスキップすれば30分~1時間としても価格に対して相当なボリュームがある。未読スキップのON/OFFはあるのでうっかり未読部分を飛ばすことはないので安心だ。

あとがき:感想

※1周プレイした程度の内容を含みます

ゲーム画面はほぼインターホン越しの彼女を見ているだけ。でも、それがちょっとした拍子に変化したときの違和感をより強調させてくれていた。テキストに注力してることもあって、画面の変化が少ないことを退屈と思うことがないのはよかった。

自由記述で想像力を働かせるところで、自分が普段ADVゲームをやってるときにどういう予想をしながらプレイしているのか見えてくるのがおもしろかった。
例えば、正体不明の人物が出てきたときに『時間移動してきたタイムリーパーかも』とか『別次元からやってきたパラレルワールド説』から疑い、違和感のある世界に対して『実は仮想世界が舞台』とか『セカイ系』などからまず想像していた。こういうのは、これまでやってきたゲームや読んできた本によるのだろうね。

選択肢がないから人によって想像外のルートがあったら辿り着けない可能性があるのは難しいところだけど、大体ゲーム内で匂わせてることだしきっと大丈夫だろう。なにより、あれこれ想像を膨らませながら入力した末にゲームが進行するワードを見つけられたときが一番気持ちよくなれるゲームだからこれはこのままでいいと思う。
ただ、入力⇔判定を繰り返し挑戦するとき、マウス操作で毎度決定を押させられる手間は惜しい。キーボード操作だけで完結させてほしかったところ。
あとは、推理パートの入力画面まで進むとセーブできないのは微妙かな。簡単にロードできるとライフ制やライフ消費で得られるヒントの意味がなくなるからってことかもしれないけど、どうせミスったらスキップしてそこまですっ飛んでくるから、いっそセーブさせてくれてもいいと思う。

彼女の正体を探るだけのゲームかと思いきや、〇〇〇にも謎があったり、実はそれも〇〇〇から示唆されていたり、各ルートの設定は〇〇〇の話で……とプレイしている内にこのゲームの攻略ルールがわかっていくのは良い作りだった。ネタバレを避けると書けることも少なくなってしまうので全ルート消化してからのクリア後感想に残しておこう。

サイトヒーロー

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Tags: 攻略