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It was a human.ネタバレなしレビュー&ネタバレあり感想

It was a human.は佐賀県某所のホテルで発生したバラバラ殺人事件の容疑者 勇魚 虎魚(いさな おこぜ)を尋問し動機と犯行方法を聞き出すことを目的とする短編アドベンチャーゲーム。

レビュー(ネタバレなし)

移動や細かな捜査パートなどはなくテキストを読み進め、選択肢を選ぶ形式のゲームとしてはシンプルなもの。サイコでグロテスクな表現があるので苦手な人は避けた方がいいかもしれないけど大体一瞬の描写で注視しないとクリアできないというものでもないからそこだけ目をそらしても問題ない。
ビックリ要素の意図はないのかもしれないけど音量バランスが悪いときがあって急に少し大きめ音が鳴ってビックリした。

とにかくシンプルな作り。
オプションの項目がなく音量などの調整はできず表現を緩和する機能もなし。
セーブはオートセーブのみだが各フェイズごとにセーブは残っている。ただ、バックログがないから読み飛ばしてしまったらセーブから戻るしかなく、メニューを開くというのもないからロードしたかったらゲームを一度終了させることになる。

最後に好き嫌いは相当に分かれるということだけ書いておきたい。
以下、その理由を含む最初の約30分プレイ程度でわかる範囲のレビュー。

レビュー(微ネタバレあり)

殺人事件の容疑者を尋問して動機と犯行方法を聞き出すことを目的とするなんてのは上っ面だけで容疑者は事件の内容について答えてくれず話は脱線ばかり、タイトル画面のバグり表現やゲーム中のメタい描写、段々と察してくるセカイ系の雰囲気にこれは事件の真相を明らかにすることを目的としていないことがなんとなくわかってくる。

進めていくほどにズレていく話と狂った表現、理解のできない出来事の連続におかしいのは容疑者か主な舞台となる尋問室か世界そのものか、自分は何を見せられて最終的に何をさせられるのだろうという不安と疑問を持つ体験をするゲームになっている。

といった具合でストア紹介と内容が違い過ぎるから好き嫌いは分かれると思う。
最初からこういうゲームであると紹介していたらゲーム体験が損なわれる部分がありそうだから難しいのだろうが。

あとこれは改善されることを期待するけどバグって進行が止まることが2回ほどあった。
演出としてバグり表現をしてこられると本当にバグってるのかバグった演出なのかわかりにくいものだ。

クリア後感想(ネタバレあり)

好き嫌いが分かれると書いたが個人的な好みには刺さらなかった。
期待していたゲーム性(尋問ゲーム)から外れていくことや狂った表現、抽象的あるいは哲学的な会話でプレイヤーを混乱させてくる手法は嫌いじゃなくMilk inside a bag of milk inside a bag of milkを思わせたけど、あれは最初から最後まで狂いとおして理解したい気持ちと理解したくない気持ちが入り混じる良質な不快を感じさせた。
It was a human.は尋問ゲームから徐々に雰囲気が変わって「このゲーム何かおかしいぞ?」と不安にさせてくるとこは良く、途中までいい具合に狂ってたのだけど最後に綺麗に畳もうとしたのか中途半端になってしまったような感じに落ち着いてしまった。(綺麗に畳めたとは言わないが)
尋問ゲームをしている頃に得た情報は彼女を理解するための材料だったのだろうが結末を見たあとでそこまで重要なものだとは思えなかったし、プレイヤーに話しかけてくるメタい流れも必要あってないようなものだった。

残りの気になった点を挙げておしまいにする。
・AI生成を含んでいるであろう恐怖や不安を煽るスチルはAI生成故の絵柄の統一感のなさが気になった
・選択肢を間違えるとゲーム終了するギミックがいくつもあって少々くどい
・勇魚 虎魚(いさな おこぜ)というゲームキャラクターらしい突飛な名前もそれを呼ぶキャラクターがいなければ印象に残らない

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