架空の戦後日本を舞台にしたビジュアルノベルゲーム人魔を1周プレイした時点のネタバレなしレビュー。
ゲームとしては物語を読み進めながら選択肢によってシナリオが分岐するスタンダードなタイプ。
選択肢の頻度はそれなりにあり、フローチャートで選択肢と分岐ポイントが表示されているので2周目からのルート探しの助けになる。
1周目では選べない選択肢があってルートは誘導される。謎を残したままの部分が多くあったから周回することでわかってくるのだろうね。
フローチャートから時間遡行で各ポイントに巻き戻ることができるんだけど、選択肢を選んだ直後くらいのポイントなのもあるからルート探しをするならセーブを残しておいた方がいいかな。幸いセーブ数はたくさんある。
スキップ速度が早いのは周回するときに助かる。ちゃんと既読スキップ機能があるので未読を飛ばすこともない。
戦時中(戦後?)の学校にて、生徒たちは監視下に置かれ学校あるいはお国のために労働を強いられている。仕方なく働く生徒がいれば監視役として強い立場を持っている生徒と教師もいる。そんな中で起こる猟奇事件と不気味な人魔伝説が入り乱れていく。
公式の説明文とトレイラーでは『架空の戦後日本を舞台』とあるけど、ゲーム内では戦時下であるような説明がある。その辺りの時代の環境下であるというだけで、戦争がどうのってのはあんまり関係なさそうだから深く気にしなくていいと思う。
主人公である里美重之(さとみしげゆき)は記憶障害を持っており定期的に記憶を失う。ゲーム開始時に記憶を失った直後のためプレイヤーと同じ視点で何もわからない状態なんだけど、周りの人間たちは里美が記憶障害であることを知っているから、記憶喪失になったとわかると親切に一から説明してくれる。
世界観や状況をプレイヤーへ説明するための設定か、何か意図したものか果たして?
セーフモード(血塗れ描写)オン/オフ機能があり、デフォルトではオン(表現緩和)になっている。
血がどばっと出てたり、身体の部位貫通している描写が苦手な人はデフォルトのまま推奨。そこまで気にしない人は設定からオフにできる。そのシーンになってから設定を変えてもすぐには切り替わらないようだからあらかじめ変更しておこう。
坂口進(さかぐち のぶ)とか雨宮杜若(あめみや かきつばた)とか、登場人物の多くはやたら難しい読みの名前をしているから覚えるのが大変に感じたけど、各キャラクターが話すときは名前にふりがなを振ってくれているし特徴的過ぎて逆に覚えやすいかもと思ったりもしたけど、大体読める名字の方で呼び合っているからあんまり意味がなかった。
立ち絵がLive2Dで動くけど、正直なところちょっと揺れてるくらいで動きはささやかなもの。
最初に聞いたときは違和感があるキャラクターもいたけど慣れてきたら全然気にならない。全体的にクオリティは高いと思う。なにより300円のゲームにして主人公含めフルボイスなのはどういうことだ?
開発者の致意は中国を拠点にしているようで過去作は中国語音声なのに今作は日本が舞台だからなのか日本語音声を入れるこだわりが窺える。
BGMはクラシック音源が多用されていて旧き時代の雰囲気を感じさせる。
あるパートで流れるラジオ体操の曲とそぐわない異様な状況によるギャップでもの恐ろしさを与えるのはうまかった。逆にある重要な選択肢を選んだときに流れる某クラシック楽曲は個人的に合わないなと思ったり、感じ方は人によって変わるかもしれない。
オリジナルの曲は普通に良い。
クラスメイトのことを『あなた』と言ったり少々言葉が堅苦しいと感じるところもあるけど問題ない翻訳。
1周は気になるところをメモしながら、ボイスはたまに飛ばして2.5時間。各キャラクター喋りのテンポはいいから全部聞いてもそんなに時間は増えないと思う。
ここからは他ルート探しになるけど残りCG枚数を見るとここから倍以上ってことはないだろう。
32枚のCGと8曲のオリジナルサウンド、7曲のクラシック楽曲の鑑賞機能がある。
ビジュアルノベルゲームは終わったときにCGや楽曲で余韻に浸りたくなるから鑑賞機能はありがたい。
もう1つ特別展示室って場所があったけど、たぶんストーリーに関わる補足か何かでネタバレの可能性もあるから一旦見るのやめた。終わったあとにちゃんと見よう。