魔法少女ノ魔女裁判 クリア後感想&考察メモ(ネタバレあり)

※ストーリーの重大なネタバレが含まれます既プレイ推奨。

クリアしたのでプレイ当時の考察用メモから最終的に考察の余地を残した部分をまとめるのと、クリア後感想を書いておこう。

【プレイ中のメモ記事】魔法少女ノ魔女裁判 プレイ日記&考察用メモ
#01 / #02 / #03 / #04 / #05 / #06 / #07 / #08 / #09

考察

最終的に明確な答えが示されていないと思うことで、個人的に考察したことを書いていく。

・1章1話と2章1話の処刑後に笑うエマ。
それぞれ牢屋敷に来てはじめて処刑で人が死ぬところを見て、深層心理でユキのことを思い出しそうになって感情がおかしくなっていると解釈。
1章3話のシェリー処刑後『エマは何故か薄笑いを浮かべる。もはや彼女の心は壊れかけているのかもしれない。』は深読みしたけど、言葉通りの意味だったかもしれない。

・処刑で消えたノア
2章3話の処刑で水に溶けて消えたノア。普通の水ではなさそうな描写があったから人間を溶かすような危険な酸による処刑で、本来は死ぬ前に魔女化する予定が寸前でヒロと仲直りすることができたために魔女化せず人間のまま溶けて死んだと考える。2章4話のハンナも寸前で精神的に救われて人間のまま死ねたような展開になっている。

・魔女裁判の処刑
『魔女を特定できなかった場合、参加者全員を処刑する』と規則にあるけど、ゴクチョーは犯人を把握していないようで冤罪でも処刑は執行されるし(時間切れゲームオーバー)、1章4話は事故死で片付けられそうな展開になっていた。
後述するように、メルル(あるいは機関)が魔女のなれはてを作ることを目的とするため、この規則は本気で魔女特定に挑むよう設けたもので実際は意味のない規則なのかも。

・エマがユキを助けられず傍観者になった理由
あれだけ優しいエマがなぜユキを助けられなかったのか。
エマはイジメられてないにしても友達が出来ず孤立していたのは事実だから、周囲に嫌われるような行動ができなかったんだろうか。
ゲーム開始時2つのバッドエンド選択肢の正解が傍観することだからエマ本来は積極的に人と関わろうとする性格じゃないのかもしれない。

そもそもユキがイジメられて自殺するまでが計画通りなら、エマに助ける気があったとしても助けられないよう立ち回っていたはずではある。ヒロの助けを拒否したように。

・機関
国が関わっている政府機関。検査で魔女因子の高かった少女を集めて殺処分を行っている。
危険な魔女因子に対策するための研究をしていると思われ、その過程でトレデキムを作っている。

・機関とメルルの関係
牢屋敷の管理を任せているメルルが魔女であることを機関が知らないわけがない。
機関側であろうゴクチョーはメルルのことを知っているし、処刑台の運用に外部の承認(機関だろう)が必要って話もあるから、メルルが集めた少女たちを殺処分にせず魔女のなれはてを作っていたことを機関は知っていたんじゃないだろうか。そもそも殺処分するだけならわざわざ牢屋敷に集める必要もないはずだ。
魔女のなれはてを冷凍保存していたのは研究目的で、メルルは大魔女を探すために機関ともそれなりに協力関係だったと考えらえる。だから機関が開発したトレデキムをメルルは持っていたのだろう。

大魔女を捕らえれば間違いなく魔女因子の対策が進むから、メルルの大魔女探しを見逃しているのも納得できる。お互い利用しあっていつか裏切る関係性だったのかもしれない。
3周目のバッドエンドでゴクチョーがユキのとりついた万年筆を回収したのは、機関に引き渡したと思える。

・機関とゴクチョーの関係
エピローグのやり取りから機関側であろうと思われるゴクチョー。
2章3話の黒幕メルルがいなくなったのに魔女裁判を続けている件で「代理で管理を任されている身」と言っているし、2周目に魔女裁判を続けていたのは機関からの指示だと考えられる。
このことからも、機関が研究のために魔女のなれはてを、あるいは大魔女探しを続けていたと思う。

メルルの持っていた昔の写真にゴクチョーがいるから元々は魔女側の立場だったと思うけど、何か理由があって裏切ったのか、その頃から人間側が潜り込ませたスパイなのか、モデルになっただけの別個体なのか考察するには材料が足りない。
魔女殺しで死んでいるため魔女因子の入った生物ではあると思うが、殺してもすぐ代わりが出てくるから魔法生物的な存在かもしれない。

・パラレルワールドの存在
最後にユキが魔女の呪いを解けなかったとは思えないし、解けていないならエマたちが家に帰れるわけがないから、エピローグのゴクチョーが言っていた魔女の問題が解決していない云々はパラレルワールドの別世界の話と考える。
なんならゴクチョーだけがパラレルワールドを認知している上位存在の可能性すらある。

ココが魔法で情報を得たのは時間軸の異なるパラレルワールドのココからになるし、ミリアの強化された魔法で共有したのも異なる世界線の記憶だからパラレルワールド設定はあるものだと考えられる。

Acacia最新作『配信少女ノ裏垢迷宮』のインタビューでヒロが登場していることについて「魔法少女ノ魔女裁判で、とある終わり方を迎えた姿だと思っていただければ幸いです」と言われているのも、本作のトゥルーエンド後の話というわけでなくて世界線の異なる話だと想像する。

『まのさば』のAcacia最新作『配信少女ノ裏垢迷宮』開発経緯、キャラクター、ゲームシステム、キービジュアル…気になることをいろいろ聞いてみた【インタビュー】(Game*Spark)

クリア後感想

『魔法少女ノ魔女裁判』を最後までプレイして感じたのは、単なる殺人事件の犯人探しにとどまらない物語の深さで、登場人物の少女たちが抱えるトラウマや思惑が事件の真相と交錯し、それが最終的にこのゲームの根本となる牢屋敷や魔女の謎に繋がっていく点が印象に残った。
ダンガンロンパのフォロワーという期待から興味を持ち、その期待にちゃんと応えてくれる部分と明らかに違う体験も加わった期待以上のものまで見せてくれた。

・推理モノとしての評価
魔法が事件に大きく絡むため、推理は消去法で「誰ならできたか」が焦点になりやすく、結果としてフーダニット(誰がやったか)とハウダニット(どうやってやったか)がほぼ同一になる。
そして動機は魔女化による殺人衝動に収束するため、ホワイダニット(なぜやったか)の部分はどうしても弱く、純粋な推理モノとして考えると物足りなさを感じると思う。

事件のトリックには「そんな上手くいくか?」と感じる部分もあり、例えばレイアの凶器を繋ぎ合わせた仕掛けやナノカの即席の担架など、ややご都合主義的に感じることはあった。この辺りはどこまで推理モノとして期待していたかが評価の分かれるところだろう。

最初のレイアの事件が魔法の誤認を狙うものだったこともあって、各キャラの使える魔法については実は隠された効果や使い方があるんじゃないかとずっと疑いながら推理や考察を進めていたけど、そこを疑っていくのが本筋のゲームじゃなかったのは読み違えた部分だった。これは最近『Staffer Case』をプレイした経験に引っ張られたのが要因だ。

裁判前の調査パートはマップ上で証拠のある場所をすべて回る形式で、キャラを動かして屋敷を歩き回るわけではないため捜査してる感は薄め。ただ事件数が多いことを考えると、この簡易さはテンポを保つために必要だったとも思える。

死に戻りによるキャラ描写の補完
デスゲーム系では早めに退場するキャラの掘り下げ不足が課題になりがちだけど、本作は2周目でそれを解消している。2周目といっても視点がエマからヒロに変わることで展開も大きく変わっているから、退屈さはなくむしろ新鮮さしかなかった。
そして最終話の3周目では全員が揃った状態でこれまでの情報を整理して牢屋敷の謎に迫るというまさに「この展開を待っていた!」という熱さがあり、期待に応えてくれる構成だった。

・2周目以降の構造と議論の重み
2周目のヒロ視点の魔女裁判では、推理よりも議論バトルに寄っていった印象。偽証を交えながら議論の主導権を握る流れは、単なる推理ゲームではなくキャラクターの心理戦を描くものになっていた。
1周目の犯人枠が再び犯人になることはないだろうというメタ読みや、1周分の経験もあって魔法の干渉が分かりやすくなったから、推理より議論を重視してキャラを深掘りする方向性は納得できるものだった。
このヒロ視点の議論でキャラの心情に深く入り込んだからこそ、3周目の全員魔女化展開が熱くなれたともいえる。

演出とシステム面
魔女裁判パートで選択を間違えてもペナルティがないから「これ絶対間違いだけど、選んだときの反応が見てみたい」を気軽に試せるのは嬉しい仕様。
裁判中のここぞってところでBGMにボーカルが付いたり盛り上がりを分かりやすく演出してくれるのもよかった。

一方でチャプター再開がないのは惜しい。物語を進めて色々とわかったあとに見返したくなってもこのボリュームだから大変だ。そのためセーブ枠は十分にあるけれど、小まめにセーブするクセのない人には不便に感じると思う。裁判の時間切れゲームオーバーCG回収はクリア後にまとめてやったけど、セーブ残してなかったら面倒でやれなかったかも。

・魅力を感じたキャラクター
個人的に最も印象に残ったキャラクターは2周目主人公のヒロ。魔女化の影響もあって、過剰なエマ嫌いや他の少女たちへの敵視が強く「このキャラが主人公で大丈夫か?」と不安になったけど、物語が進むにつれ少しずつ柔らかさを見せてエマに対しての複雑な思いも迷いだし、最終的には正しさを求めるヒロが自分は正しくなかったと認める姿には成長を感じられた。こういう精神的に変化していくキャラには心惹かれるものがある。

2周目のヒロは随所で偽証していたけど、3周目の全員魔女化の議論中はほぼ嘘や偽証をしなかった。一部の偽証も根拠はないけどヒロはそう信じているってニュアンスで2周目のような主導権を握るための騙すような嘘ではなかった。

総評
はじめる前はダンガンロンパのフォロワーだろうと見くびってたところもあったけど、実際には物語の厚みとキャラクターの成長を堪能できるしっかりとオリジナリティを持つ作品だった。
考察の余地を残してくれるのは、自分のように妄想を膨らませるのが好きなタイプにはクリア後も楽しめる余白としてあってよかった。
発表されている新作との繋がりも期待できるし、Acaciaが今後どう展開してくれるのか楽しみだ。

サイトヒーロー

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