Milk outside a bag of milk outside a bag of milk プレイ後感想

前作Milk inside a bag of milk inside a bag of milkの直後からはじまる続編のプレイ後感想。
※前作含めて既プレイ前提のネタバレあり

【前作レビュー記事】Milk inside a bag of milk inside a bag of milk 5段階レビュー

感想

前作のレビュー記事を書くときは体験を損なわないことを懸念していたけれど、今作は感想を述べることすら難しい。精神的な疾患を抱えた少女の視点だけが物語を紡ぐため、プレイヤーとしては何を信じ、何が真実なのか見極めることに苦心させられる。
延々と繰り返される独り言。その背後に秘められた意味を探ることは、まるで難解な謎解きのようだ。
少女の言葉と心情を辿るうち、自分の脳は次第に拒絶反応を示し始め、少女の言葉は理解が追い付く前に霧散していく。そんな感覚に囚われてしまっていた。

感情や道徳、倫理観などが欠如したキャラクターというのは様々なゲームに登場するけど、それら登場人物たちの行動原理や背後にある意図は何となく窺い知ることができるものだ。ところが、この作品の世界においてはその理解に到達することができない。
このゲーム開発者が何かしら深い意図やメッセージを含ませていることだけは察することができる。例えばそれは父親の死に関すること、少女視点で化け物のように映っている母親のこと、学校に関わること、クスリのこと、牛乳のことだったりだ。Steamコミュニティスレッドやガイドを訪れれば様々な視点からの解釈が語られているけど、それを眺めても完全にこの世界を理解することはできないだろう。
このゲームはかわいそうな少女を救うという話ではない。精神疾患を持つ人の思考や感情を直接体験することを通じて、深い洞察をもたらすゲームなのだ。

貴重な体験を提供してくれるゲームとしてGoodかBadの評価を下すならボクは間違いなくGoodを選ぶ。ただし、だれかにこのゲームをオススメすることは遠慮したいとも思う。
リアル過ぎて逆にリアルさを感じないというか、触れずにいられるなら触れないままでいたい世界がここにあるのだ。

余談だけど、Steamの評価は『このゲームを他のプレイヤーにおすすめしますか?』の2択なのでこの評価方法は迷ってしまうね。

苦痛を与えてくるゲーム

前作は途中で失敗するバッドエンドを除くとエンディングは1つだったのに対して、今作はエンディングが5つ。それなのに前作と違って巻き戻しは出来なくなり、セーブ枠は1つだけ、ゲーム中にロードしたりタイトル画面に戻る機能もなくなっている。ESCキーを押して出てくるのは○とセーブだけだ。

もはや意図的に苦痛を与えるため機能を制限していると考えられる。

1周は約30分程度。
選択肢は膨大にあるように見えるけど、分岐に関わるのは極一部で多くはポイントクリックでホタル探しをするパートで分岐しているからセーブはここでしておけばいいだろう。

牛乳代はアニメーションへ

ゲーム起動時にはじまるアニメーションにはまず驚いた。
前作の話を描いたアニメーションだが、少女視点の真っ赤な描写だったものと変わって第三者視点で見る少女の不安定さは真に迫るものがある。
高級牛乳くらいの値段になってしまった今作の価値はここに多く注がれているのだろう。

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