往年の古典名作ターン制RPGの良システムが豊富に取り込まれた新作インディーズゲームSea of Starsを2時間ほどプレイした時点のレビュー。
きめ細かで美しいピクセルアート、ノスタルジックな雰囲気のサウンドなどいろいろ評価したい部分はあるが、なんといっても戦闘システムが良い。
ターン制RPGという枠組みでこれだけ贅沢にシステムを混ぜたらごちゃついて遊びにくくなりそうなものだが、これが邪魔しない良い塩梅で組み込まれている。
攻撃やスキルはタイミングよくボタンを押すことで、ダメージ増加や追加攻撃、回復スキルは回復の効果を高めてくれる。
敵の攻撃やスキルに対しても、タイミングよくボタンを押すことで、ダメージを軽減する。
コマンドを選択したら見守るだけのターン制バトルにこれでアクション的要素が入ってくる。新しいスキルを習得したり、新たな敵と遭遇したらどのタイミングでボタンを押せばいいのか探る楽しむが増えるわけだ。
敵も簡単にはタイミングを合わせないよう微妙にタイミングをズラしてくる動きをしてくるのが意地悪くもおもしろい。
MP(マナポイント)を消費して使用できる技や魔法。
MPは通常攻撃をヒットさせるたびに3ポイントずつ回復するので、MPを温存して通常攻撃ばかりで戦うといった単調で退屈なことにはならない。
参考までに最初から使える回復魔法の消費MPは4、攻撃技・魔法の消費MPは6~8といった具合。
戦闘中に溜まるCP(コンボポイント)を消費して発動できる強力な連携技。
基本的にはボス戦のような長期戦にならないと溜まらないと思われる。序盤は貴重な全体回復技が使えるので重宝するだろう。
敵が特殊スキルを使う前に現れるパネルのこと。
パネルに表示された属性攻撃をすることでロックを破壊すればスキルの発動を阻止できる。パネルが複数あって全て壊せなくても、壊した枚数だけスキルを弱体化させることができる。
タイミングよくボタンを押す強ヒットの追加攻撃で2回分壊したり、複数の属性タイプを持っているスキルで効率よく破壊できる。
ゲーム序盤では打撃、剣撃、月、陽の4系統の属性をやり繰りする戦いだが、ヘルプを見ると全6系統まであるようで後々戦略の幅が広がってくるのだろう。
通常攻撃をヒットさせると生マナというエネルギーが落ちる。
生マナを吸収した次の行動時はダメージアップ、回復効果アップなど強化される。
最大3個分生マナは残しておけるのと一度に複数の生マナを吸収することで強化は大きくなるから、弱点属性で攻撃するときに吸収するといったことができる。
ちなみにふりがなは振ってなかったので『せいまな』か『なままな』かはわからない。個人的には『なままな』を推したい。
HP0になると戦闘不能になるが、キャラクターの上に現れる☆の数だけターン経過するとHP半分の状態で復活する。蘇生アイテム→すぐやられるのループにならないのはありがたい。ただし、同戦闘中で戦闘不能になるたび復活までのターン数は増えていく。
切り替え可能なゲーム体験の調整ができるシステムで、最初に手に入る『語り部のお守り』はONにすると『最大HPが100上昇、戦闘後にHPがオート回復する』という低難易度モード。
すぐ次に手に入る『閃星のフレア』は『強ヒットや強ブロックが決まったとき星が飛び出る』という見た目だけの効果で難易度に直結はしないが、強ヒット・強ブロックのタイミングが合っていたかどうか判別しやすくなるので秘宝縛りみたいなこだわりがなければONにすると遊びやすくなる。
ストーリーについては深くは触れない。
何かしらの危機が迫っている世界で、特別な力を持っている少年少女の二人が修行時代を経て世界を救う旅に出るという王道もの。しかし、明らかに何か秘密が隠されていて油断のならない緊張感のある導入になっている。
いきなり専門用語や固有名詞がいろいろ出てくるから序盤はちょっと置いていかれてる。また、初っ端の十数分の修業時代はあまり操作することがないので少々退屈気味。
ボタン押すだけのアクションではあるが段差やハシゴの昇降、向こう岸へのジャンプなど動きが多彩で移動が単調にならないよう工夫されている。フィールドにある仕掛けを動かして先に進めるようになるなど、軽い謎解きパズル要素もある。
敵はシンボルエンカウントでシームレスに戦闘に入るのでテンポがいい。
レトロ風味なこだわりか今作にはオートセーブがないのでうっかりセーブしないで終わらないよう注意が必要。本のある台座がセーブポイントになっている。
それなりの頻度で設置されているし、外フィールドや焚き火のある場所で出来るキャンプ中もセーブポイントは現れるのでそう困ることはないだろう。セーブスロットは9個で使い道があるのかわからないがセーブのコピーができる。
ポーションや薬草といった定番回復アイテムはなく、キャンプ中に料理をして回復アイテムを作成することになる。レシピを入手して作れる料理は増えていき、食材は敵のドロップやフィールドに落ちているものを拾って手に入れる。
魚がかかったら左右キーで魚を動かしながら引き寄せて釣りあげるシンプルな釣り要素。
料理の食材になるだけかもしれないが、魚の種類がいろいろあるような感じもあり、それなりにこだわりのある作りになっている可能性も。