前記事:Case.1プレイ時のレビューと感想の続きでCase.2からCase.4までプレイしたので感想など。
※事件に関するネタバレを多分に含みます(既プレイ前提)
・事件のあらすじ
クリーチャー(マナ現象によって変異した非人間の生物)の管理施設で社長がクリーチャーに喰い殺された。クリーチャーを操れるスキルを持つ容疑者が数人いる中、哺乳類クリーチャーを担当している人物が哺乳類でもある人間を操れることがわかり、他者のスキルを利用して殺害を実行していたことを突き止める。
チュートリアルともいえるCase.1で『容疑者のスキルは実はこんな能力でした』という騙し展開があったから、このゲームはステッパーである容疑者たちの曖昧なスキルの正体を見極めて推理する形式であることがわかった。
Case.2でも似てるようで異なるスキルだった二人の容疑者がいるし、ゲーム側もプレイヤーがそこを疑ってくることを前提にした展開にしているようだから、Case.1のアンフェアに感じたスキルの騙しはそこが本作の推理の焦点だと示すためのものだったと納得できた。
主人公たちが所属する管理局がステッパーたちに嫌われ、警戒されている世界観のため、犯人じゃない容疑者達まで警戒して自身のスキルについて積極的に話してくれなかったりするのも推理の余地を作るための作り込まれた設定なのだと思う。
もう1つ本作ならではの推理ポイントというか駆け引きがあっておもしろいところは、捜査官(プレイヤー側)もスキルを使って捜査はするけど犯人に捜査官のスキルが知られると対策される恐れがあるということで自身のスキルについては明かさず相手のスキルを探っていく感じはまるで能力者バトルものっぽい。
この事件の核心部分である哺乳類を操れるスキルの『哺乳類が人間を含むこと』は予想できたけど、哺乳類操作 → 物体転送 → 動物操縦 → クリーチャーが被害者を襲撃するってリレー殺人は流石に回りくどいと思った。スキルで捜査もできるこんな世界だからやり過ぎなくらい警戒しての犯行かもしれないけど、ゲーム的都合で複雑にしてやろうって印象が強かった。
あと無意識にとはいえ殺人を実行してしまった容疑者が真実を知ってどうしたとか全然描写がないことも気になった。これはCase.1の事件でも関係性のある容疑者たちが解決後どうしたってことの描写がないから本作はあまりそこを重要にしないスタイルなのだろうね。
・事件のあらすじ
ステップ(マナ現象を起こせる道具)のコレクターだった男がコレクションの倉庫前で身体が縦に真っ二つになって死亡した。ステップを使った犯行であることを疑い捜査していく中で、倉庫そのものがステップであることがわかり、配偶者が知らないうちに倉庫のスキルを発動させ起こってしまった不幸な事故だったことが判明する。
Case.3は物言わぬステップのスキルがどんなものなのか探っていくことが推理の焦点だったけど、危険物だから迂闊に近づけないという理由でスキルの正体を探り始めるのが後半だったことや、容疑者それぞれの雰囲気が犯人じゃなさそうってメタ推理だけどなんとなくわかるから殺人事件を追ってるって感じがあまりしない不思議な回だった。
ステップのスキルや発動条件となるトリガーの性質を説明する回だったかと思ったが次章のCase.4ではステップが出てこず、それより主要キャラのブリアン、テナとの関係性など今後のストーリー全体に関わりそうな伏線を張る描写が豊富だったからそういう回だったのかもしれない。
真相にしてもドアを閉められそうになったからスキルの発動を止めようとして身体が半分ドアに挟まされる状況になったっていまいちピンとこないものだったし個人的には不満な事件だった。
『せめて挟むなら手だろう!』とか『スキル発動しないようにドア開けっぱなしだったなら窓も開けてたんじゃないのか?』とか腑に落ちない点が多かった。
・事件のあらすじ
管理局の地下で起こった殺人事件の捜査をすることになったマナ専任チーム。そこは危険レベルの高いステッパーが収監されている非公開エリアだった。被害者も容疑者も規格外のスキルを持つ常識の通用しない中、ノートリックたちは事件解決に挑む。
無敵に思える防御スキルを持つ被害者と意識改変や精神操作、タイムリープといったミステリーもので登場していいものなのかって滅茶苦茶なスキルを持つ容疑者たちはこれまで以上に規格外な存在。容疑者全員が危険な存在で捜査するときも警戒しなければいけない緊張感はこのゲームだからこそって設定と展開で非常におもしろい事件だった。
どうやったら被害者の防御スキルを突破できるのか、誰のスキルだったらいけるかってスキルを中心に推理を巡らせるのはやっぱりこのゲームの醍醐味でCase.3からのギャップもあって一段とよかった。
「被害者が危険に思っていない毒物なら可能かも」って誰もが考えそうな推理はある程度当たっていたものの、そこから被害者のスキルが逆に死を招いてしまったという真実はスキルが万能でないことを改めて思い知らされた。
殺意があり実行した人物、殺意から守ろうとしてそれが裏目になったこと、無意識に事件を作り出してしまった幼い危険人物が発端というどんでん返しは衝撃的で、世界を破壊しかねないスキルを持ってしまったステッパーの最期はこの世界の危うさをしっかり描き、ようやく主人公ノートリックの周りで渦巻く思惑が動き始めたことでこれからプレイする最終章Case.5への期待が高まった。