※重大なネタバレがあるので既クリア推奨
設定の振り返りや考察を含めながらクリア後の感想を。
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・メタフィクションなのか?
システムの干渉、文字化けの演出から登場人物がプレイヤーの存在やゲームの世界であることを認識するいわゆるメタフィクション要素を思わせるけど、終わってみると登場人物はプレイヤーを神様と認識しているのであって第四の壁を破ってはいないから思っていたようなメタフィクションとは違う新鮮味があった。
しばらく神様(プレイヤー)はヘレナに選択肢の誘導をしていくけど、結局のとこトゥルーエンドに向かうためには神様の言う通りにしないでヘレナが自分の言葉と選択で行動する必要があった。そこまでの過程があってこそではあるが結果的には神様の行動は余計なお世話だったのかもしれない。
トゥルーエンドルートで神様がやったことといえばヘレナを天使にして見守るくらいで、結末として繰り返され続ける世界という構造はそのままで何も変わっていないけど、ヘレナとマリーはお互いを忘れず思い続けられるようになって願いは叶えられたと思える。
結果的に前任のクロードは消えてしまっているのだけど、そこはクロードの人物像や姿が見えてこないようになっているからプレイヤー的にはあんまり気にならないのが上手い作りになっていた。
・恋愛シミュレーション部分について
攻略対象を選んだらあとは選択肢を選んでエンディングに到達する個別ルートはそこだけ見るとシンプル。
ハッピーエンドに向かうためには繰り返しの世界で状況を把握しているマリーからのヒントを聞いてその通りに行動するってわけだからやってることは攻略情報を見るような裏技だ。実際それで3人は救えるけど裏技だからヘレナは問題の本質を理解できていないように思う。
その先のトゥルーエンドはマリーのヒントも神様の誘導も無視したヘレナの行動によって到達できる。表示された2つの選択肢じゃなくテキスト枠を選択するというのはおもしろい仕掛けだった。一応そこのヒントは初日のマリーと話したときのセリフで匂わされていたから発見したときの嬉しさがあったね。
個別シナリオは3人ともが愛に関する問題を抱えていたのはちゃんとテーマに沿っている。
いくら問題を解決しても繰り返される世界でなかったことになるんだよなぁと考えちゃうけど、トゥルーエンドのエピローグでクラリスが自分の問題を皆に相談するって個別ルートではなかった世界になっているようだから神様の力とか奇跡とかなんやかんやあって理想の世界になってくれていると思うことにしよう。
エンディングまでの仕掛けは簡単すぎず難しすぎずのほどよい感じがとてもよく、ドット絵グラフィックとBGMの雰囲気も好みだったから同制作の他ゲームも触ってみたくなった。今作より短時間のボリュームみたいだから隙間時間にやってみるかな。
公式サイト:パンくず工房