※ストーリーに関する重大なネタバレを含むためクリア後推奨
初回プレイしたのは2ヵ月前。4月になり全区間プレイ動画の配信・投稿が可能になったということで2周目プレイしてネタバレあり感想やストーリーまとめをしていきたい。
根拠のない噂が尾ひれをつけて広まり都市伝説に昇華していくという現象を現代のSNSで描いた都市伝説解体センター。ネット社会の嫌な側面を鋭く描きつつも実際にSNSを使っていると「あるある」と感じてしまうリアルな描写が随所に散りばめられていて、その説得力が物語への没入感を高めてくれた。
物語は章ごとに独立した事件として描きながらも、最終章でそれらが一つに繋がっていく構成。こうした展開は珍しくないものの、この手法は往々にして個々のエピソードが中途半端に感じてしまうリスクがある。でも本作は第三話(異界)を除けば各章がその時点できっちり完結していたように思う。その三話も終わってみれば全体の根幹に関わる重要なピースだったことがわかり納得のいく着地を見せてくれた。
念視や都市伝説という不安定な存在を表現する手段として、本作の高品質なドット絵による一枚絵やアニメーションは親和性が高いと感じた。カットシーンも随所に挿入されているから質だけでなく量の面でも満足度は高く、ここは特に2周目で改めて気づかされた。
初回プレイでは流れに身を任せて読み進めていた場面も、物語の全体像やキャラクターの思惑を知った上での2周目では発見が多くあった。特に本編の外であざみ(歩)と接触したことのあるキャラクターのセリフなど細かい仕掛けが仕込まれて、一本道のストーリーでありながらしっかりとリプレイ性がある。とはいえ、1周目で物語をきっちり読み切ったという満足感が得られる点も本作の完成度の高さを物語っている。
個人的にはここ最近プレイしたアドベンチャーゲームの中で最も満足感が高い作品だったと言える。
・都市伝説『呪いの椅子』
生まれ持った能力(念視)で悩んでいる福来あざみは『怪異でお困りの方!!』というポスターを見かけ都市伝説解体センターを訪れる。
訪れた先でセンター長の廻屋渉に相談していたところ呪いの椅子に座ってしまったあざみは念視を使って呪いの正体を解明するが呪いの椅子を壊してしまう。
弁償するためにあざみは都市伝説解体センターの調査員として働くことになる。
第6話終盤の映像を見るに椅子自体置いてなかったから完全に脳内でのやり取り。わざわざカメラ映像を残し「ようこそ 都市伝説解体センターへ」と口に出しているのは本編通りグレートリセット後の種明かしのため。これを以って都市伝説解体センターという都市伝説は解体されるわけだ。
・念視の正体
あざみの念視の正体はギフテッド(天才)による高い観察力や推理力によるもの。如月努の眼鏡をかけることで深層心理にある歩の計画と能力を掘り起こし精度が高まるのだろう。
・あざみが目覚めたのはここから?
改めて見ると導入カットシーンのあざみの表情は生まれたときから変なモノが視えると言っていたのにまるで初めて怪異を見たような雰囲気をしている。あざみとしての人格がはじまったのはこの瞬間からなのかもしれない。
・ジャスミンは廻屋に会ったことないのか?
本当のセンターの状況を見るに初めからもぬけのからだったはず。だとしたらジャスミンは廻屋と直接会ったことはなかったんだろうか?
もし会ったことがあるなら廻屋=あざみに多少なりとも気づけたかもしれない(直接会ったことのあるジマーたちもあざみに気づいてないけど)が何かと理由を付けて直接会わずに電話越しのやり取りで済ませていたか、あるいは都市伝説解体センターの動画のように仮面なり付けていたのかもしれない。
でも潜入調査してるならセンターに一度は踏み込めばいいだろうにとは思う。
・都市伝説『ベッドの下の男』
依頼主”美桜”はある日家の中に急に現れた男の影に襲われそうになった。警察に連絡するが影の正体は掴めず都市伝説解体センターを頼る。
同じ大学の友達だったあざみは調査員として美桜を助けるため調査を開始。真相は美桜の先輩で不審者の第一発見者だった栄子が首謀者で、バズりと美桜を自分の仕事(高級マンションへの誘導、パパ活斡旋)に利用するため男と共犯で行った事件だった。
・美桜
あざみと友達。如月歩の計画段階であざみとして大学に通い既に友達になっていたようだ。それも便座が上がっているのを気にするタイプだと認識するくらいちゃんと付き合いがあった。
解体後に栄子を襲ったときの「やっぱり 最初からあざみだけを信じて あざみの言う通りに行動すべきだったんだ」あたりのセリフはあざみに言った覚えがないような描写だったから計画段階の歩が何か吹き込んでたんだろう。六話で手紙のやり取りが見れるから直接は会ってなさそう。
・栄子
元5Sで歩の復讐相手の一人。
動画サイト(ゲーム内ではBootube)で活動していた元カリスマインフルエンサーでその頃は炎上狙いで他のメンバーと企画動画を上げてたっていうのが後の上野天誅事件に関わってくる。
・語りかけてくる廻屋
この先情報の整理をするたびに脳内で語りかけてくる廻屋。
これはゲーム的サポートかと思いきやしっかり脳内でやり取りしてるということだった。
・電話を掛けてくる廻屋
情報がまとまってきたところで電話を掛けてくるのも脳内会話で電話しているフリ。解体のときわざわざ廻屋が話したことをあざみが復唱して周りに伝えるってやり方で『スピーカー通話で廻屋の声をみんなが聞けるようにすればいいのに』って思ってたけどそれはできなかったわけだ。
タイマーかけてアラーム鳴らしてたんかな?
・血糊を撒いたのは美桜
2回目の調査であざみが帰ったあと美桜が栄子を迎えにアパートの廊下に出たら不審者と遭遇。慌てて部屋の中に逃げたら部屋の中が滅茶苦茶で赤く染まっていたって展開があった。解体後の栄子と男の会話から廊下にいた不審者と血糊を撒いたのは男ではない。
廊下の不審者はダレ?
→ 栄子?
美桜を驚かせて追い詰めようとしたか。
→ ストーカー?
SNSで身バレしたため襲われたか。
→ 美桜の嘘?
玄関前に置かれた血糊を取りに出ただけか。
血糊を撒いたのはダレ?
→ 美桜(六話で確定)
栄子も男も撒いておらず可能なのは美桜しかいない。SAMEZIMA管理人の指示で実行している。
その後に栄子の部屋に血糊が撒かれたのも美桜の仕業、外食に出かけるとき美桜は忘れ物を取りに一人で部屋に戻っている。
・都市伝説解体センターの動画
解体後に廻屋(あざみ)が動画を撮る時間はなかったから事前に用意されていたもののはず。
この時点で栄子は行方不明になっていないのに連れ去る予定だからか行方不明ということにしている。
現場では都市伝説を解体して怪異や超常現象でないことを証明しているけど、動画では都市伝説になるよう曖昧な結末にしている。視聴者からしたら「解体できてないじゃん!」ってなりそうだが。
・都市伝説『ブラッディメアリー』
心霊系配信者”谷原きのこ”が幽霊召喚の儀式をしていたら配信に幽霊が映った。
ヤラセを疑われているきのこは本当に幽霊が存在することを証明してほしいと都市伝説解体センターに依頼する。
調査中の配信できのこのヤラセが発覚するも全てがヤラセじゃないと調査を続け、元住民の女性が幽霊の正体であることを突き止める。
・きのこ
元5Sで歩の復讐相手の一人。
心霊系配信者だが過去に迷惑系をやっていたという情報が地味にSNS調査で見られる。栄子の過去の炎上系活動と表現は微妙に違うけど同じことをやっていたことがわかる。
・ヒナタ
きのこが借りている曰く付きの部屋の元住人で幽霊の正体。
浮気した男を殺害したあとに自身を包丁で刺し無理心中を装った。その後、四谷みわ子の事件と噂に便乗して幽霊騒ぎを起こし自分の事件が明るみにならないよう行動している。
きのこが浮気相手の名前メアリーと呼び続け(正確には浮気相手の名前はマリ)、さらに凶器の鏡に細工しようとしたことできのこを襲おうとするがジャスミンに阻止される。
・廻屋の思わせぶりなセリフ
廻屋は自身があざみと同一人物であることを認識していると思わせるセリフ。
ブラッディメアリーのターゲットになったかもしれないと怖がるあざみに対して「その日まで。私が死なせません」
→ グレートリセットがきてあざみの人格が不要になる日まで。
都市伝説の醍醐味について熱く語ったあと「おや あざみさんなら理解できると思いましたが」
→ 同一人物だから都市伝説が好きなはず。
→ 0話で都市伝説についての熱弁を聞いてくれたからってだけかも。
・四谷みわ子の幽霊
エピローグで四谷みわ子の父親が鏡の前で娘の名前を呼び続けていたら背後に現れた。これは事件と関係なく幽霊召喚の儀式が成功したってオチ。
・都市伝説『異界』
参加者が行方不明になると噂のミステリーツアー。主催者の正体と目的を明らかにするためあざみとジャスミンはツアーに参加する。
ツアー内容と参加者が過去にあった殺人事件『上野天誅事件』に関わっており、事件の被害者だった男の妹が犯人を見つけるため容疑者をツアーに招待していたことがわかるも犯人はわからないままツアーは終了する。
・上野天誅事件
7年前に起きた殺人事件。被害者”野村健吾”のそばに『天誅』と書かれた紙が落ちていたことから天誅事件と呼ばれる。オカルト研究者”如月努”がアリバイがあるにも関わらず犯人扱いされたのち自殺、非解決事件となり公的に存在しないものとなったためネット上では如月努が犯人として認識されている。
このゲームの本筋に至る一連の出来事全てのきっかけといえる事件。
この章時点でわかる情報としては『複数個所の殴打』『犯人は10枚しか存在しない水神堂の小判を持ち去っている』『犯人の腕にはアザがある』ということ。
複数個所の殴打
→ 理由としては弱いが複数犯の示唆。
水神堂の小判を持ち去った
→ 物取り目的ではないがオカルトマニアには人気らしいので持ち去ったのだろう。
犯人の腕にはアザがある
→ 六話の5Sの動画にて黒沢の腕にアザがあるのがわかる。
・上野オカルト&ダーク
オカルトツアーの名称。
参加者が行方不明になるという噂。
SNSに過去の参加者が生還していることを投稿するものがあるけど六話の管理人から「開催を焦ると犯人を逃します」とあるから松田が来るまで中止するなどして実際は過去に開催したことはないのかもしれない。
あったとしても10枚しかない小判の持ち主がターゲットだから1回程度。真相を突き止めるため疑わしい容疑者を攫ったとかで行方不明になるという噂が広まったか。
足りないツアー資料、招待されていない人が混じっている。
主催者(木村=野村朋子)の端末ハッキングして招待DMを偽造したことは判明するけど、SAMEZIMA管理人として指示すれば普通に招待できたようにも思う。そもそもツアー資料に何が書いてたって情報もない。
松田のツアー資料にだけ入っていた赤い蛇が描かれた紙。
→ 水神様?
→ アザの示唆?
→ 松田を犯人の目ぼしにしていたから反応を見るため紛れ込ませた?
→ ガイドはランダムに配ってるように見えたが?
ボートにあった落書き『5Sきのこ参上!』
→ 5S時代にきのこが書いた落書き。天誅事件の前後に書いたもの?
・山田ガスマスク
元5Sで歩の復讐相手の一人。
『腕にアザもつ罪人 現世に戻る事を許さず』に反応している。
上野天誅事件現場で手に入れた事件に関する情報とは?
→ 犯人は水神堂の小判を持っているとか腕にアザがあるとか犯人を示すヒントが書いてあって反応を見ようとした? 山田が全員に公開しなかったのは想定外と思われる。
→ イルミナカード? 上野天誅事件の犯人ならすぐに解答できると読んだ?
三話エピローグでエレベーターに乗って消えた。
webライターとしてのネタ探しに訪れたか、歩(あるいはジミー)に呼び出されたところを攫われたか。
・木村(野村朋子)
上野天誅事件の被害者の妹。事件の真犯人を見つけるためツアーを主催。
上野天誅事件の当時、如月努と一緒にいたため真犯人がいることを確信している。(六話にて)
あざみに対して「あなた…なんだよね?」「あなたなら 私の事分かってくれるでしょ?」ということから歩が犯人探しツアーのアイディアを出して焚きつけたことがわかる。
・藤原
如月努の妄信者。
地下の駅へ移動中に不審な動きをして来た道を戻ろうとしたのは地下にガスを充満させてたから?
それらしいのが六話のSNS書き込みにある。
・水神堂の小判
10枚だけ発行されたレアな小判。7年前に起こった上野天誅事件より前の2013年に発行ということで少なくとも本編が2020年以降の物語であることはわかる。
歩のハッキング技術で持ち主を特定し木村に情報提供したということはギリギリ理解する。でも何で持ち歩いてたんだ?
・ナターシャサイン
六話にも出てくる制作者(歩)のみ使えるハッキングツール。これで廻屋がツアー招待DMを偽造したということからやはり廻屋は他人格の存在を認識していると思っていいかもしれない。
・電波がないところで電話
最後の地下で通気口のそばだけ電波が届いて廻屋から解体の電話がきた。しかし、解体後に木村があざみだけシャッターの方に連れてったときも廻屋と通話していたことから疑問を感じることはできる。
・都市伝説『コトリバコ』
ネット通販で活動している通称ビューティ潤が手に入れた呪物の鑑定を依頼してきた。
呪いの被害が広まる中で呪物の正体、入手経路を調査し呪いを実行した犯人を突き止める。ジマーだった犯人は警察に捕まるもビューティ潤は呪いによって倒れてしまう。
・眉崎(ビューティ潤)
元5Sで歩の復讐相手の一人。
ネット通販で有名、返品騒動の炎上をきっかけに有名になっている。
・伊藤
眉崎に恨みを持つ配達員。
狂信的なジマーで操られるように眉崎に呪いを実行した。
・赤い箱の呪い
蛭塚村の蔵にあった茶葉と酒を飲み合わせることで幻覚、体調不良、ひどいと心筋梗塞が発症する。迂闊にもジャスミンが箱に触ってしまったせいで呪いの信憑性が増してややっこしいことになる。
・本当の呪い?
眉崎をモデルにしたクマのぬいぐるみに針を刺す、段ボール箱の送り状の宛名に呪の文字を加えるなど伊藤が実行した呪いは効果が出ている。とはいえ、呪いを発症した眉崎がその後攫われていることから配送した食料品などに何か混入させていたとか、彼女のリナも眉崎に対して思うところはあるだろうし実はジマーだったとかで解決しそうではある。
・都市伝説『ドッペルゲンガー』
IT企業の社長”黒沢優弥”から盗まれたものを取り返してほしいという依頼。証言と防犯カメラから黒沢と同じ姿をしたドッペルゲンガーが現れ、警察システムの情報を盗み出されたことが調査でわかる。
黒沢の周囲にいた秘書、家政婦、サーバー担当者、警備員の諸々がジマーの共犯で口裏を合わせドッペルゲンガーとして行動していたことが判明し一旦の解決はするも、彼らを操っていたSAMEZIMA管理人を捕らえようとしたジャスミンは負傷してしまう。
・黒沢
元5Sで歩の復讐相手の一人。
自宅に『登録者100万人金の盾 ファイブ・ソサエティ様』とあるからチャンネル保有者か。
この事件より前からジマーによるテロ行為が発生していることから警察の情報をずっと前から売買していたのかもしれない。
五話エピローグで自身の罪を都市伝説解体センターに擦り付ける投稿をしたあと攫われる。上野天誅事件のときも同じように如月努に疑いの目が向くようSNSで誘導してそう。
・連絡がなくなる廻屋
黒沢から追加の依頼があったといってしばらく連絡が取れなくなる廻屋。
実際は追加依頼などなく黒沢周りのジマー数人への指示、黒沢の端末ハッキングなどで手一杯だったか?
・あざみのドッペルゲンガー
2日目の調査(黒沢宅)の後、あざみが帰り道に自身のドッペルゲンガーと出会う。
直前のあざみが自分自身に話しかけるようなセリフ、目の前に現れたドッペルゲンガーを見て「せ センター長さん??」と言うなど多重人格、あざみ=廻屋を示唆するような描写が入る。
・事件の時系列
①黒沢が征二(黒沢の父)の家から認証デバイスを盗み出す
②サーバー室にドッペルゲンガー(ジマー)が侵入するも認証デバイスがないため断念
③黒沢の社長室に侵入して認証デバイスを盗み出す
④黒沢自宅に侵入してHDDを盗み出す
⑤黒沢がドッペルゲンガーのフリして征二の認証デバイスが盗まれたことにした。
・黒沢が出会ったドッペルゲンガーは?
→ SAMEZIMA管理人? 六話の念視で管理人の姿をした人物が追い詰めている。あの姿だったら本人とも限らない。
→ 家政婦以外のジマーの変装? 暗い部屋だったし咄嗟の事だからわからなくても仕方ない。家政婦は共犯だから瓜二つと言う。
→ 本物? 黒沢生きてるが。
・盗まれたHDD
HDDに書かれた『5』からファイブ・ソサエティの動画データだとわかる。
・突入されたSAMEZIMA管理人はホンモノ?
ジャスミンたちに突入されたときの管理人はホンモノ(廻屋)だったんだろうか?
落ちたときにジャスミンは何かに気づき「ゼロ…枚目…」と言い残すが、六話であざみと再会したときは何か知ってた雰囲気はない。状況的に廻屋よりあざみの無事を喜んでただけかもしれないが。
既にクローゼットで目星を付けていたジャスミンなら上野天誅事件に関わるジマー(木村、藤原)の影武者がそこにいたとしてもギリ連想できる?
・都市伝説『鮫島事件』
SAMAZIMA管理人が予告するグレートリセットのタイムリミットが迫る中。あざみは管理人の正体を追うため予告動画で流れた謎解きを開始する。
都市伝説解体センターが関わってきた案件を振り返りあざみは全てのはじまりとなった上野天誅事件と管理人の正体を解体する。
・SAMEZIMA管理人の正体
正体は廻屋。最後の解体で認めているからあざみ、廻屋とまた別の人格ということではないだろう。
さらにこれまでの廻屋のセリフや謎解きの答えを入力したあとのページに出てくる『私に問える者は私だけ』とあるのでSAMEZIMA管理人(廻屋)は別人格を認識しているといえる。そこまでいくと歩との差はないようにも思える。
・如月歩の目的
大きな目的としては『5Sメンバーへの復讐』『如月努の汚名を晴らす』『如月努を死に追いやった世間への復讐』になると思う。
5Sメンバーへの復讐方法としては非解決事件になっている上野天誅事件の真相を世間に明るみにするというもので、こうすれば如月努の汚名を晴らすことが出来るし、5Sメンバーの罪が公にされるだけでなくかつて如月努が受けたような世間からの非難を5Sメンバーも受けるだろうから復讐方法としては最適のように思える。
しかし、如月努を死に追いやった世間への復讐としてグレートリセットが実行されるのだけど、同時期にやってしまうため世間の関心は上野天誅事件からすぐに遠ざかってしまったようにも思う。
エピローグではたった数日でSNSは日常を取り戻しているとあるけど、グレートリセットがあった後だし以前ほど無責任に人を貶めたりする書き込みはないのだと信じたい。が、都市伝説解体センターが再建されていることから如月努の復讐は終わっていないのかもしれない。
・ジャスミンの必要性
都市伝説解体センターで雇っている理由としてはクローゼットに入るためというのが大きそうだ。イルミナカードに関連する事件が起きる前から潜入していることから意図的に情報を流して都市伝説解体センターに目をつけさせたというのも想像できる。でもクローゼットに入れるほど階級の高いジャスミンを引き込めたのは一体どうやったものか思いつかない。警視正って警察官全体1%未満の階級なのに!
・都市伝説になった都市伝説解体センター
それにしても如月努は目的を達成するためにかなり回りくどいことをしている。
5Sメンバーへの復讐は手段さえ選ばなければジマーに襲わせるなり拉致して自白させるなりやりようがある。サイバーテロ(グレートリセット)は予告なんてせずやってしまえばいい。
それでもあえて都市伝説に絡め続けたのはオカルトを愛した如月努の無念を晴らすためという考えなら納得できる。サイバーテロによって多くの人が被害を負ったのにその事件はクローゼット行きでなかったものになるという世間に対する意趣返しとしてこれ以上のものはないだろう。
そして最後に一連の事件に関わりがあるはずなのにその全貌が一般人には見えない都市伝説解体センターそのものが都市伝説へと昇華したことで如月歩の復讐は一旦幕を閉じる。
・あざみの解体
SAMEZIMA管理人の正体を明かすあざみの解体は歩の計画外の行動だったんだろうか?
あれがなければ都市伝説解体センターに踏み込まれるまで時間がかかっただろうから逃亡する時間に余裕があったはずだ。どちらにせよグレートリセットによって廻屋渉と福来あざみの関係は明るみになるだろうし結果的に逃亡は出来ているから解体したことで何も変わっていないように思う。だったら最後だし福来あざみ人格の好きにやらせたってだけの話かもしれない。
新しい都市伝説解体センターになっても本来用済みな福来あざみの人格が一瞬出てきたことから歩にとって自分自身の良き理解者として必要な人格になったんだろうか。
・主題歌『奇々解体』
各章のエピローグで主題歌が流れる演出は曲の良さはもちろん、その見せ方が上手く非常に印象的だった。特に第六話のエンディングで流れるときはフルの歌詞付きで全てを知ったあとにわかる歌詞の意味も相まってエンドロールで感じやすい退屈さとは無縁なものにしてくれている。
最後に、クリア後推奨の公式MVでさらに満足感を高めて終わることにしよう。
『都市伝説解体センター 主題歌「奇々解体」ミュージックビデオ』(YOUTUBE)