去年SteamのNEXTフェスで興味を持って体験版をプレイしていた都市伝説解体センターが発売されたのでプレイ&レビュー。
公式サイト:都市伝説解体センター
都市伝説や怪異の疑いがある事案を担当する探偵事務所『都市伝説解体センター』の調査員にされてしまった主人公、福来あざみがその場所に残された記憶を視るサイコメトリー的な能力『念視』を用いて事件解決していく物語。
1章時点の主要人物は主人公の福来あざみ、都市伝説解体センターのセンター長である廻屋渉(めぐりやあゆむ)、あざみの先輩になるジャスミンの3人。
あざみは純粋な性格で念視が使えるのに幽霊の類が苦手という不憫なのが可愛いタイプ。
廻屋は車椅子で現場には来ないが何もかも見通す千里眼を持ちタイミングのいいところで連絡してくる謎多き上司。
ジャスミンは何もわからないあざみにアドバイスしてくれる先輩、念視や千里眼のような異能力を持ってなさそうなのに都市伝説解体センターに勤めているのは何か理由が? といった感じ。
章ごとに1つの事件に挑み『SNS調査』『探索』『特定』『解体』のパートに分かれて事件を解決していく。
・SNS調査
現代はインターネット上の噂を発端に都市伝説が生まれるということで事件に関連する噂をSNSで調査し都市伝説の輪郭を掴む。
気になるキーワードを見つけ、そのキーワードを検索して次の気になるキーワードや噂の広がり方を見つけて調査のきっかけ作りにする。
・探索
現場で関係者への聞き取りや怪しい場所を調べて情報を集める探索。
調べられるポイントはアイコン付きでわかりやすく基本的には総当たりで見ていけば詰まることはないと思う。同じ場所でも新しい情報を得てから再度調べると新たな発見があったりするのでちゃんと情報を整理していればスムーズに調査が進む。
情報を集めていく中で推理する選択肢や穴埋め問題もある。ミスってもペナルティはないので推理モノが苦手でも問題なし。
念視能力で過去の人や物の痕跡を見るあざみだからこそ見つけられる情報があるのが特徴。
・特定
SNS調査と探索で得られた情報を整理してその事件で起きた事象と一致する都市伝説を特定する。
都市伝説が特定できれば事象の原因や対策が立てられるというわけだ。
選択肢を選びながら事件の流れ、事象を振り返って整理する。
・解体
揃った証拠を元に都市伝説に隠された謎を解体する解決編。
特定と同じく選択肢を選んでいく方式で都市伝説や怪異が関わる事象だったのか事件の真実を解き明かす。
あざみや廻屋が異能力を持っているけど、怪異や呪いの仕業か実は厄介な人間が起こした事件なのか疑う余地を残しながら調査していくのがおもしろいところ。
おおよその流れはこの4つのパートだけども『特定』したあとまた『SNS調査』→『探索』に戻ったりするから事件解決にどれだけ近づいているのか簡単に読ませないのは良い構成。
人間を赤く描写したピクセルアートは怪しい人影が果たして不審な人間かそれとも怪異の類なのか絶妙に判断できない表現にしているのはうまい。
ドットアニメーションの質もよく緊迫するカットシーンは息を吞まされる。
分岐とかはなさそうだけど任意セーブのないオートセーブのみだから振り返ったりできないのは少々難点。質の良いドットアニメーションがあるのだしチャプター回想やカットシーン回想モードがあったら嬉しいかな。クリア後に解放されるのかもしれないけど。
※この先ボリュームと1章エピローグに少しだけ関わる内容を含みます
プロローグ含めて1章は約2~3時間。全6章構成だから全体10時間~20時間といったところで価格に対しては十分すぎるボリュームがあると思う。
1章エピローグのこれから何かいろいろ起こりそうだぞ! って期待させる登場人物のセリフとBGMの演出は続編に繋がる映画のエンディングを見ているようで気持ちが昂った。