牧場物語 Let’s!風のグランドバザール 28時間のレビュー感想

牧場物語シリーズ最新作『牧場物語 Let’s!風のグランドバザール』を1年目の夏が終わるまで(約28時間)プレイした時点でのレビュー&感想を書いてみよう。
牧場物語シリーズはいくつか経験済みで、類似タイトルの『スターデューバレー』もそこそこにプレイしているため、ややシリーズ経験者寄りの視点になる。

レビュー

ストーリー概要

舞台はさわやかな風が吹き抜ける町『そよかぜタウン』。
かつて世界一の大バザールとして賑わったこの町に再び活気を取り戻すため、主人公は牧場主として生活を始める。
週に一度開催されるバザールが町の中心的なイベントであり、プレイヤー活動の軸になる。

ゲームシステムと特徴

本作は作物の栽培、動物の飼育、採取、釣り、住民との交流など、シリーズ定番の牧場生活をベースにしながら独自の要素を加えた作品となっている。

・農業
季節ごとの種をまいて作物を育てる定番の農業。

サイズ固定の畑

季節の変わり目に季節の異なる作物が枯れるから月末に植える作物と収穫日を調整するのがお約束ながら面倒だったんだけど、本作は『春、夏に育つ作物の種』など季節を跨いで育つ種が多くてそういうストレスポイントがなくなっている。
農作業は繰り返し作業になりがちだけど、クワの耕しや”じょうろ”の水やりなど早めに広範囲化が可能だから作業時間が短めになる設計なのもよかった。

収穫したものは出荷箱に入れて収入を得るシリーズ定番の形式ではなく、週に一度のバザールで直接販売するスタイルが特徴。日々の細かい収入がない代わりにバザールで大きくドカンと稼げるのがシリーズとしては珍しくおもしろい。ちょっと資金が必要なら町の店に持ち込んで売ることはできる。

・動物の飼育
ニワトリ、ウシ、ヒツジなどを育ててタマゴやミルク、毛などを収穫する畜産業。毎日のスキンシップや放牧によって品質が向上する。

動物のお世話

天気の良い日は放牧するとエサをやる必要がなく、放牧は最初だけ手作業で小屋から外に出してやる必要があるものの、ペット(犬と猫)がきてからはペットが誘導して放牧してくれるので世話の手間は軽減される。
収穫できる動物はアイコンが表示されてわかりやすくなってたりと色々新設設計になっている。

・採取と釣り
自然に生成される野草、鉱石、木材などが採取できる。
町中や山が主な採取ポイントになり、一部風の強い日にグライダーで滑空してしか行けない場所もあるので効率よく巡回できるコースを探すといい。

釣り

釣りは表示されるボタンを押すたびに魚の体力を減らして0にすることで成功する形式。釣り竿の耐久力(時間制限)がありボタンの押し間違いで耐久力が減ってしまうので体力の多い大型魚では1回のミスが致命的になりかねない緊張感がある。

・料理と加工
収穫物は料理や加工で価値を高められる。
料理は自宅のキッチンでレシピをもとに調理。レシピはイベントや初めて食べた料理から入手できるから、まずは店のカフェやバザールで料理を購入しレシピを覚えていくことになる。

製造ラインの効率を考える

加工は町にある3つの風車で行い、時間経過で加工が完了。
加工要素がすべて風車に集約されて操作性は良好。時間経過で完成するため、加工の優先順位を考える戦略性も良い感じ。

・生活サイクル
1日の活動時間は限られているので時間管理も大事な要素。
AM6時に起きてPM10時までに寝るのが基本サイクルで遅く寝ると朝起きるのも遅くなるのだけど、毎週土曜日のAM10時からバザールが開催されるため、バザールのために生活リズムを整えておくことが重要になる。

何か行動するたびに消費するGUTS(ガッツ)という体力が必要で、GUTSが0になると倒れてその日は強制終了してしまう。寝ることやお風呂、食事で回復することはできる。
これもあって1日の活動は時間とGUTSを管理しながら行動していく。

1年は春、夏、秋、冬の四季をそれぞれ1ヶ月(31日)でサイクルし、季節ごとに育てられる作物、採取できるもの、町の行事イベントなど変化点がある。

・住民との交流
日々の会話やプレゼントで好感度を上げていると、イベント会話やおつかいを頼まれるクエスト的なものが発生する。また、何人かいるパートナー候補の好感度を上げていけばいずれは結婚することもできる。同性婚も可。

パートナー候補:公式サイトより
パートナー候補:公式サイトより

バザールなど町の皆が集まる行事や個別イベントが豊富だったり、ボタン連打で飛ばしがちな会話送りをしなくても周辺にあいさつするコマンドで日々の好感度上げが楽にできるのは良い。ただ、会話をした方が効果はあるから好感度を上げたいパートナー候補などは会話するといい。

お手軽あいさつ

気になったポイント

その他、シリーズ経験者視点で気になったところ。

・レイアウトの自由度はない
畑や畜産小屋の配置は固定で、建築やインテリアのカスタマイズはできないから自由に牧場をデザインしたい人には物足りないかも。ただ、動線は整理されていて畜産小屋は自宅と隣接しているなど利便性は高い。

・品質と鮮度の管理
品物には0.5刻みで☆0から☆7までの14段階の品質があり、高品質になれば販売時の価格が高くなり、食べ物ならGUTS回復量が増えるといったメリットがある。
作物だったら土の状態を良くしたり肥料を与えるなどで品質は上がっていくから、ただ季節に合った作物を育てるだけでなく、手間暇をかければそれだけ高品質になっていく嬉しさがある。

作物などには時間とともに低下していく鮮度があり、出来立ての『新鮮』から『くさってしまった』まで5段階の変化がある。腐ると売れない、プレゼントできない、食べられないなどデメリットだらけだからそれまでに消費することを迫られる。
ずっと保管しておくことができるとインベントリに残してしまいがちだからシステム的に荷物整理するきっかけになる鮮度要素は個人的にはよかった。

倉庫

ただ、品質と鮮度で困る点は同じ品物でも品質と鮮度が異なればアイテム枠が別になってインベントリを圧迫してしまうことだ。いっそのこと低い方の品質と一緒になっていいからまとめさせてくれてもよかった。

・風のテーマの活かし方
風車による加工やグライダー移動など風を活かしたギミックは、風が強いほど加工時間が短くなったり、グライダーの移動性能が良くなるのでテーマ性を感じられて良い。

グライダー

・活動の区切りになるバザール
週一回のバザールに向けて品物を準備して、最高売上の更新やバザール評価の向上、バフ効果のあるオブジェ設営を豪華にしていくなど目標設定がしやすい。

設営も豪華にしていこう
設営もどんどん豪華にしていこう

また、バザールには自分以外の店もたくさんあり、お金の使い道が豊富でバザールで稼いだお金を何に使うか迷わせてくれる。


牧場物語 Let’s!風のグランドバザールはシリーズの定番要素をしっかり押さえつつ、『風』と『バザール』というテーマを軸に新しい体験を提供してくれる作品だった。
レイアウトの自由度やインベントリ管理の利便性に気になる点はあるけど、週一のバザールを中心にした生活サイクルは新鮮でプレイヤーの役割意識を強く感じられた。
もう少し『風』のテーマが物語やシステムに深く絡んでくると、より印象的な作品になりそう。それでも、穏やかで丁寧な生活を積み重ねていく感覚は、やっぱり『牧場物語』ならではの魅力だと再確認できた。

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