かまいたちの夜リスペクトのノベルゲーム:神無迷路レビュー

名作サウンドノベル『かまいたちの夜』リスペクトを随所で感じられる致意開発の神無迷路のネタバレなしレビュー。

致意のノベルゲームは前作の人魔をプレイして満足度が高かったので神無迷路も迷うことなく購入。
伝奇サスペンスだった人魔とはまた変わったテイストだけどよく出来たシナリオとストーリーテリングで、ゲームとしても人魔で不満のあったところが改善されて遊びやすくなっていた。

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緊張感が続くシナリオ

三浪している波立良志は貧困から謎の地下研究所の実験アルバイトに参加する。訪れた地下研究所で巻き起こる出来事とは……
・死んだはずの幼馴染との再会
・地下2000メートルで行われている研究
・何者かに狙われる謎の研究
・閉鎖された空間で起こる殺人事件

複数の謎が交差し、選択肢によって分岐する物語。最後まで緊張が解けないシナリオで波立はこの迷路から抜け出せるのか?

SF要素は濃いめ

暗黒物質やら平行時空やら科学系の用語が飛び交う場面があり置いてけぼりをくらうかもしれないが主人公の波立も大体理解していないのでたぶん問題ない。でもたまに波立は鋭いことを言い出すのでプレイヤーだけ置いてけぼりをくらうことがある。
この手の定番『シュレーディンガーの猫』くらいの知識があればいいと思う。ゲーム内でシュレーディンガーの猫の説明はないけど、そこは他の表現で説明されている。

人は同時に2つの扉を通り抜けることができるか?
かまいたちの夜リスペクト

青いシルエットの登場人物、テキストや選択肢の雰囲気、突飛な選択肢やノリ、SEの使い方など随所でわかる通り、神無迷路はかまいたちの夜をリスペクトしているのがよくわかる。

かまいたちの夜テイスト

しおりでセーブをすることになっているけど、かまいたちの夜みたいなクリア後要素のしおりはなさそうだ。
その他かまいたちの夜と異なる点はもちろんあって、そこは良い意味でかまいたちの夜の知識の有無でプレイヤーの体験に差が出ることはないだろうと言える。

日本語フルボイス・翻訳問題なし

致意の作品は以前こそ中国語ベースだったようだが、前作人魔から日本語音声のゲームになっているのもあってか日本語訳はしっかりしている。(舞台が日本だからかもしれないが)

この低価格で主人公を含め日本語フルボイス。人魔のときモブキャラのボイスに違和感があったけど今作はなし。少し癖とか言葉遣いに堅苦しさを感じる登場人物はいたけどすぐに慣れた。
翻訳が難しそうな科学の専門用語のとこはどこまで合ってるかわからないけど、日常会話は問題なかった。

遊びやすいフローチャート

ゲーム概要にあるし序盤の選択肢を見てわかると思うから書いてしまうが、このゲームは周回プレイが前提となっている。
選択肢で分岐するノベルゲームで最初は選べない選択肢があり、特定のルートまで到達したら後で選べるようになる。周回や他の選択肢の会話を見たいとき、フローチャートから各ポイントにジャンプできるので巻き戻りはすぐにできる。選択肢があるところはわかるし選んでいない選択肢がいくつあるのかも表記されているので迷うことはない。
このためセーブ枠は3つしかないけど全然困らなかった。

フローチャート

ネタバレ防止のため画像は付けないけど、条件が必要な選択肢があるところはフローチャート上に南京錠のアイコンがあってロックされているのがわかる。カギのアイコンがある特定のポイントにたどり着けばどこかのロックされていた南京錠のアイコンが解除されたアイコンに変わって選択肢がアンロックされたことがわかるようになっている。

人魔のときはセーブ個別のフローチャートで周回するたびにフローチャートがリセットされたし、どのルートでアンロックされるかわからず迷うことがあったから神無迷路はこの辺りすごく改善されてる。

ボリュームと周回要素について

※全体のプレイ時間やゲーム進行の流れを知りたくない人はスルー推奨

最初から選べるルートの1周目は1時間半~2時間程度と短めだけど、そこでアンロックされた先のルートに入ると予想できない大きな展開が起こって周回なのに同じ時間以上にかかると思う。最終的に全ルートクリア、エンディングまで未読部分のボイスを飛ばさず5時間くらいが目安。

選択肢で分岐するゲームではあるけど鍵がかかってる選択肢があるなど、ある程度はルート順が決まっているので一本道に見えてくる。ただ初見プレイ中はそう思わせない選択肢の物量があるし、選択肢でルート分岐はしないまでも会話の内容が変わって人間関係とか見え方が変わってプレイヤーによって思うところが変わる部分はあると思う。

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