超能力が認知されている世界で超能力に関わる事件を推理していくミステリーアドベンチャー『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』のCase.1をプレイした時点のレビューと感想。
本作は続編『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』が発表済みでそちらに興味を持ったので手を出してみた。外伝だかスピンオフだかの『Staffer Reborn』も購入済みなので本編クリア後にプレイしたいと思う。
レビュー
ストーリー概要
人口の約1割がスキル(超能力・特殊能力)を使える架空のロンドンを舞台に、ステッパー(スキルが使える人間)の関わる事件解決を担当する機関にスカウトされた主人公ノートリック・ケースが仲間の捜査員たちと協力して事件解決に挑んでいく。

事件にスキルが使われていることで調査と推理が困難な中、捜査員のスキルを駆使して通常は知ることのできない情報から犯人を導き出していこう。もっとも、主人公はスキルを持っていないのだが……
ゲームの流れと特徴
ゲームは主に『会話』『調査』『推理』の3つのパートに分かれている。
会話パートはシンプルなアドベンチャーゲームらしい会話を読み進めるだけの部分。ここは特に選択肢など操作するところはない。

調査パートは捜査員のスキルを使いながら情報・資料を得る部分。大体ここも会話を読み進めるだけの時間が多いけど後の推理に必要な資料を得るところになる。
例えば取り調べの陳述書には『振動を感知するスキル』によって心拍数を読み取り、容疑者の細かい反応を知ることができる。つまりは嘘発見器みたいなもので、これは容疑者の陳述が本当か嘘か判断する材料になる。

他には『写真に痕跡を写し出せるスキル』によっていつ、だれが現場周辺に訪れたなど把握することで容疑者を絞ることができるといった感じ。

そして推理パート。問いかけられた疑問や問題、謎について手持ちの資料から答えを示す箇所を選択して『照合』する。正解ならストーリーが進み、間違っていればやり直し。ミスのデメリットはなく、わからなくなったらヒントを得ることもできるので詰まることはない。

この推理パートの頻度は多く、自力で事件解決へ導いているという快感は十分に得られると思う。
資料を読み取り答えを見つける形式は“思考中心のプレイ”に仕上がっており、頭を使うことを楽しめる人にとっては非常に心地良いはずだ。
こんな能力があればすぐに犯人を絞り込めるのではと思うけど、実際やってみると巧妙にいきなりは絞り込めない状況だったり、いくつかの条件からスキルがそこまで万能でないことがわかってくる。なにより事件に関わる容疑者たちもスキルが使えるステッパーばかりだから誰でもやれるような気がしてくるわけだ。
こういったスキルが存在することならではの普通の人間では不可能な事件に対して、捜査員たちのスキルで普通は知り得ないことを知ることのできる調査をしていく形式だとなんでもありの滅茶苦茶推理ものになりそうだけど、ゲームとしてはちゃんと論理で突破していく手触り感が強く、推理しているという気分はしっかり味わえるのが本作のおもしろいところだと思う。
ボリュームとしてはCase.1~Case.5までの5つの事件とサブストーリーがある。
事件はどれからでも選べるようになっているけど普通に順番通りやった方がいいだろう。
あとはネタバレになるから下記ネタバレ含む感想の項目に詳細は書くけど、ただ事件を解決していくミステリーものじゃなくこの超能力が当たり前に存在する世界観で起こっている社会的問題など、個別の事件に収まらないストーリーも展開されていくようで興味深く、続きを楽しみにさせてくれる。
Case.1感想(ネタバレあり)
※Case.1事件のネタバレを含みます。既プレイ推奨。
この事件のネックとなるのは容疑者のスキルが思っていたものと違っていた点だった。

これがわかった瞬間はアンフェアな設定だと思ったけど、ミステリーもので超能力や特殊な才能が使えるとそれが犯人を特定する材料になり得るから、この設定で犯人特定を困難にするためスキル詳細の誤認知を誘うトリックは必要だったんだろうと後々納得できた。
つまりこのゲームは容疑者の証言や行動だけでなく、スキルまでも疑う必要があるわけだ。それは他のミステリーものにないこの世界観ならではの特徴と言えるだろう。
ただ、スキルの誤認知について初見のプレイヤーやステッパーでない主人公が騙されるのはわかるけど、ステッパーでプロの先輩捜査員たちまで騙されているのはどうだ? 他の推理場面でもそうだけど、主人公を活躍させるために仲間の知能が下がっているシーンが目立つのは少々気になるところ。
Case.1終盤からわかってくる能力を持っているステッパーが危険な存在として管理、なんなら差別されている社会構造の話は、きっとCase.1に限らず全体ストーリーの要になっていくと予想できる。そんな世界でステッパーではない主人公がどんな立場で決断を下すときが訪れるのか今から楽しみだ。
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