ポーカー題材のデッキ構築型xローグライク:Balatro レビュー

昨年のGOTY部門賞を複数ノミネート・受賞した2024年インディーゲームの代表作『Balatro』をプレイしたのでレビュー。

レビュー

ゲームの特徴

特殊ルールのポーカーでブラインド(対戦相手、ステージ)に勝利し、得たチップでデッキを強化していくデッキ構築型のローグライク。

ポーカーといえばチップを賭けたギャンブル要素による駆け引きがあるけど、本作はチップを賭ける要素が存在しない。ポーカーをするのは自プレイヤーのみで、作った役からスコアを計算して獲得、目標スコアに到達すれば勝利となる。

プレイ画面

初期デッキは4種のスーツ(スペード、ハート、ダイヤ、クラブのマーク)と1~13の数字カードが1枚ずつの基本的なトランプ52枚。ジョーカーはここに含まれない。
ランダムに配られた8枚の手札から最大5枚を選んで役を作る。作った役のスコアを計算し、4回役を作るまでに規定スコアに到達すれば勝利、到達できなければ敗北となる。
狙った役ができないときは最大5枚を捨てて引き直すことができる。引き直せるのは3回。

勝利すればチップ獲得とショップの買い物でデッキ強化、次のブラインドへ進む、これを繰り返していく。敗北したら最初からやり直しとなる。
初期デッキや手札枚数、役を作れる回数、引き直し回数など諸々はゲーム開始時に選択するデッキ(キャラ選択のようなもの)や後述するジョーカーによって変化する。

ジョーカーは山札に加えず所持していることで効果を得られるパッシブスキル。
スコア計算に倍率を加えて獲得スコアを増やしたり、役作りをサポートしたりと効果は様々。ブラインドを進めるごとに増えていく規定スコアに到達するため有用なジョーカーの獲得は必須となるが通常5枚までしか持てないので取捨選択に最も悩まされる要素になる。

タロットは消耗品のアイテム。カードを廃棄、変換、強化したりといった効果。他にタロット枠に入る消耗品として役の強さを上げる惑星カード、タロット以上にカードに変化を与えるスペクタルというのもある。

役一覧

作るのが難しい役ほど獲得できるスコアは増えていくが、特定の役を集中的に強化していくことで簡単な役が難しい役のスコア獲得量を超えることができる。さらにジョーカーには特定の役に倍率がかかるものなどあるから強化の方向性を決めてデッキ構築していくことになる。

対戦相手、あるいはステージにあたるブラインドは通常規定スコアの変化しかないが、3ブラインドに1回ボスブラインドが出現する。ボスブラインドは『すべてのスペードカードにデバフがかかる』『引き直し回数が0回になる』などルールが追加されるので難易度が上がる。そしてボスブラインドを8回クリアするとそのゲームは勝利となる。
プレイするたび、条件を達成するごとにジョーカーやデッキがアンロック。また、各デッキごとでに勝利するたび上位の難易度が解放されるなどで繰り返し遊び続けることができる作りになっている。

プレイ後感想

デッキ構築型ローグライクの醍醐味は存分に味わえる。強化した役、カード、ジョーカーの組み合わせで狙い通りの役を作り、大量スコアが出せたときの爽快感は格別だ。

デッキ構築の方向性を決めるジョーカーは150種類もあり、役やカードの強化に必要なパック類を含めて基本的にショップの品揃えに頼る場面が多くて運の要素はかなり強いと思う。構築のランダム性の高さ=不安定さは良くも悪くもこのゲームの難しさの一因ともいえる。

例えば、毎回ハートのフラッシュを作れる強力なデッキを構築したとしても、ボスブラインドの効果で『すべてのハートカードにデバフがかかる』や『プレイ済みの役はスコアされない』といった条件に直面すると勝ち目は薄くなる。ボスブラインドの効果が確認できるタイミングで対策を練ろうと思っても、その間に挟まるブラインドは2つのみで間に合わないことも珍しくない。

ジョーカーの5枚制限は窮屈に感じた。デッキ構築のシナジーを意識して選びたいのに、5枚という制限があるため1枚で安定した効果を得られるジョーカーを優先しがちになってしまう。しかし、このゲームは全体的にランダム性が高いため、無闇に安定した攻略を目指すよりも上振れを期待してプレイするほうが楽しめるし、勝率も高くなるような気がプレイを重ねた今は感じつつある。

最後に細かいところで報酬や強化を得る際、複数の選択肢から1つを選ぶシステムはローグライクではよく見られる要素だけど、Balatroではトランプやタロットカードというモチーフを生かし、パックを剥いて入手する演出になっている。この違いだけなのになぜかワクワクする。
「せっかくパックを剥いたのに全部もらえないのか…」と思ってしまうこともあるが、それはゲーム的事情と我慢しよう。

パックを剥くわくわく

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