ふしぎの城のヘレン+について10のこと(レビュー)

RPGツクール2000で製作されたシンプルながら戦略性と奥深さのある戦闘システムが特徴なふしぎの城のヘレン+について10項目の思うことを挙げてレビューしてみよう。

1.タイムカウントによるターン制コマンドバトル

ふしぎの城のヘレンを象徴する独特な戦闘システムがタイムカウントによるターン制コマンドバトルだ。
戦闘は1vs1で行われて各ターンに所持しているアイテム(装備)から1つを選ぶ。
各アイテムには行動時間(カウント)が設定されていて、選んでから行動時間のカウントが減っていき0になったら選んだ行動(攻撃、回復など)を実行する。
これは敵も同様で、例えば敵が行動時間10の攻撃をしようとしていたら、その間にこちらは行動時間5の攻撃を2回繰り出すことができる。

タイムカウント

これだけなら普通のターン制コマンドバトルと大差ないが、今作の戦闘に戦略性を付加している要素がアイテムごとに設定されている防御値である。
行動時間と同じくアイテムごとに防御値が設定されていて、タイムカウント中に受けるダメージは選択中のアイテムの防御値で計算される。
敵から攻撃を受けるときは防御の高い行動をしておいて、敵が防御の低い行動をしているときはガンガン攻撃を仕掛けていくのが有効だ。

2.戦略性を生むアイテム相性

アイテムは種類によってパラメータの傾向が決まっている。

剣:攻撃と防御のバランスがいい
弓:攻撃と防御は低いが行動が早い
魔法:攻撃力が高いが行動が遅く無防備
盾:攻撃はできないが防御がとても高い
補助:回復やパラメータ上昇など

敵の行動もこれらのパラメータ傾向があり、それぞれの傾向から相性関係が生まれる。

・防御を貫通する魔法は盾に強い
・連射できる弓は無防備な魔法に強い
・防御のある剣は威力の低い弓を受けながら攻撃できる
・タイミングよく盾を構えれば剣を防げる

といった感じで、敵の行動によってこちらが有利になる行動を選択するのが重要になる。
アイテムは8つまで持つことが出来て、あらゆる状況に対応できるように所持アイテムのバランスを考えるのがおもしろい。

3.自分で効果的な戦略を発見できる

プレイしていると徐々に効果的な戦略を発見できるようになる。
例えば敵が防御を構えているとき、そのまま攻撃したところでダメージを与えられない。そこで敵の防御の行動時間が残り5なら、行動時間6の攻撃をすれば防御をやめた瞬間に攻撃できる。

シンプルなルールのおかげでこういった有効な戦略を発見しやすく、敵によってそれぞれ有利な行動パターンもあるから発見する楽しさを何度も味わえる。
1vs1のターン制コマンドバトルをよく楽しめるように考えられたアイディアは素晴らしい。

4.負けても強くなれる

初見の敵には予想外の行動を取られて負けることもある。
ゲームに慣れるまでのボスに至っては初見は負ける覚悟で行動パターンを覚えることも大事だ。
敗北のデメリットはなく、それどころかHP上限をアップさせる食事がもらえるので(取るかは任意)、恐れず挑戦することができる。

5.確かに得るものがある探索

探索することで新たなアイテムを発見できる。
隠し通路や謎解きで見つけられるアイテムもあるが、新たに手に入るアイテムは基本的に戦力アップになるので探し甲斐がある。

序盤すぐ行けるようになる拾っちゃうおじさんの部屋で各ステージどれだけ宝箱があったかわかるので取り逃していたらわかるようになっている。

拾っちゃうおじさん

6.ユニークな謎解き

ネタバレになるので内容は書かないけど、PCゲームならではの要素がある謎解きやちょっと考えたら解ける程よいギミックは丁度良い。

謎解き要素

7.何も語られることなくはじまるストーリー

ゲームを開始するとストーリーやキャラクターについて何も語ることなく操作がはじまり、目的のわからないままなんとなくダンジョンを探索して敵を倒して進んでいく。
これはゲーム性だけを重点にしてストーリーや世界観については特に語るつもりがないのかと思ったが、ゲームが進んでいくと徐々にこの世界がどういったものか明かされていく。

8.主人公ヘレンは何者なのか

ストーリーと同じく主人公ヘレンについてもゲーム開始時は何も語られないし、選択肢はシステム的なものと『!』や『?』などで喋るテキストもないから序盤はヘレンがどういった人物なのか全然わからない。ヘレンについてもストーリーと同様、徐々にどういった人物でこのゲームの目的が何なのかわかるようになっている。

9.古参ネタ

自分はよく知らないので語れないけど、古くから2ch(現5ch)にあるRPGツクールスレにおいてシリーズ化されているVIPRPGという作品群のネタが盛り込まれているらしい。
知らなくても問題ないけど、知ってたらより楽しめるのだと思う。

10.RPGツクール2000製が故の問題はある

これはどうしようもない話だけども古いゲーム、RPGツクール製が故に困ることもあるにはある。

・画面サイズの小ささ(フルスクリーン=F4を押すとエラーで落ちるのはおま環?)
・F12を押すとタイトル画面に戻る、steamでよくスクショを撮ってるとうっかり押す
・対応してるコントローラーが不安定、デュアルショック4はダメだった
・SteamDeckで動かない(RTP入れて無理やり動かせる?)

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