愛憎ブロマンスADV:さいはて駅 レビュー&クリア後感想

男性二人の狂った共依存と愛憎ブロマンス探索ホラーADV『さいはて駅』のレビューとクリア後感想。

※ブロマンス(Bromance)とは
「brother(兄弟)」と「romance(ロマンス)」を組み合わせた造語で、恋愛以外の幅広い関係や親密な絆を描いたもの。

公式サイト
BOOTH

レビュー(ネタバレなし)

ストーリー概要

自分に自信のない卑屈なサラリーマン春夏冬ハル(アキナシ ハル)と、明るく優秀な後輩である立浪シオンの二人が『さいはて駅』という奇妙な場所に閉じ込められ共に脱出を目指す。

過去のイジメ、別れた彼女やパワハラ上司が関係したトラウマがフラッシュバックする怪奇現象が次々と起こり錯乱するハルをシオンは優しく支えてくれるが……

ハルとシオン

公式のジャンル表記『愛憎ブロマンス探索ホラーADV』とあるように男性二人の愛と憎しみが入り乱れる歪んだ共依存を描くストーリーになっている。
さいはて駅がハルやシオンにどんな関係がある場所なのか、ハルとシオン互いの想いの行き着く先は・・・?

ゲームの特徴

ゲームとしては2Dマップの探索型で謎解きや追いかけっこがある。
全体的に難易度は易しめで謎解きはゲーム内ヒントがあるから詰まることはなく、追いかけっこは失敗しても直前の再リトライがある。
謎解き追いかけっこをするシーンはどちらかといえば少なめで、ハルとシオンの会話の方がメインになっている感じがする。

シオン

ハルの行動によって『依存度』の変動がありエンディングが分岐するシステムで、セーブ枠は19個と十分にあるから小まめにしておける。
エンディング数は4つでエンドロールが流れるエンディングに辿り着けば真エンドの条件が見られる。真エンドの条件を一から達成するならそこそこ戻ることになるけどルートに入ってるかどうかで途中の会話や行動が変化しているし、二周目からセリフに含まれていた真意がわかって同じことをやり直してる感じがあまりなくてよかった。

ハルに関連している怪奇現象が起こるさいはて駅、頼りになるのに何か異様な雰囲気のあるシオンの謎が明らかになっていく展開と同時に、まるで職場の休憩時間のように談笑をする二人の様子はこの世界の異様さを際立たせてくる。ホラー要素はそこまでないけどストアページに説明があるように刺激の強い描写があるので注意。

この作品には、いじめや虐待等暴力による 身体的・精神的苦痛、流血、 一部不快なSE、軽い嘔吐表現、殺人、犯罪行為の正当化、 倫理観の欠如などの表現が含まれます。 フィクションと現実を混同する方、精神状態が不安定な方、刺激に弱い方、 苦手な方はプレイをお控えください。

ジャンルを見て「BLはちょっと……」と敬遠する人はいるかもしれないけど、直接的な愛情表現や同性同士で云々といった描写はなくこの狂っていく世界と二人の関係を見てそういった嫌悪感は感じない。最後までプレイしてこれを純粋な愛情と見るかまた違った何かと思うかは人によると思う。

なんとDLCが予定されている。真エンド後の世界を描く物語のようだからストアページを見るのはクリア後推奨。
※サムネイルと説明文で察するものがあるかもしれないからリンクは貼らないでおく。

クリア後感想(ネタバレあり)

※結末に関するネタバレを含みます

こういった迷い込んだ異世界からの脱出を目指すゲームで異世界に閉じこもり、すべてを放り捨てて犯した罪から逃げることを選ぶようなルートが真エンドというのは珍しいけど、そこに至るまでの過程を見てこの二人の選択だったらそうなるかという説得力があったのはよかった。

何か良い感じに終わったけど実際やっちゃってることは恐ろしく、二人の関係性は意外と危ういようにも思う。ハルにとってのシオンは自信がない自分を認めてくれる友人だけど、シオンにとってのハルは弱々しくて可愛らしい愛玩動物みたいな扱いだから、もしハルが自分に自信を持つようになって前向きに生きるようになったとき、シオンはハルを愛し続けられるのだろうか?
そしてハルが前向きに生きてくれることを願ったこの世界唯一の良心なのに救われないアオイ……DLCに出てきそうだけど救いはあるのか?

最後に、シオンが一人でトイレに行こうとするシーンを見て「実はこいつ女では?」と一瞬疑ったけど、男性二人の共依存や愛憎が云々を謳って実は女でしたはきっとこのジャンルではNGなんだろうなとなんとなく思った今日この頃。

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