まえがき
インディーゲームサークル『カラスドコロ』の人外キャラクターとのコミュニケーションノベルゲーム『仕事終わりにあの店で』。見た目は全然人間味のしないキャラクターとの会話劇がどうなるのか興味惹かれてプレイしたのでレビュー。
・公式サイト
・Windows版ダウンロード(BOOTH)
・ブラウザ版(PLiCy)
レビュー(ネタバレなし)
ストーリー概要
仕事帰りに立ち寄ったお気に入りのお店で、相席になった他のお客さんと食事をしながら会話をして仲良くなっていく話。
ゲームの特徴
ゲームとしてはテキストを読み進めながら選んだ選択肢によってエンディング分岐するシンプルなノベルゲーム。キャラクターごとの個別エンディングがある形式。
大きな特徴はいわゆる攻略キャラがみんな人外であることだ。人間だったら見た目の情報から「大人しそうな子かな?」とか何かしら印象を持てるんだけど、どのキャラクターも表情が見えないし一目見ただけではどんな人物(?)なのかわからない。

もしかすると特定の趣味嗜好を持つ人ならこれだけで「あ、このキャラクター好き!」となるのかもしれないが、自分には難易度が高かった。もちろん、初見時にキャラの印象をつかむのが難しかっただけで、交流をしていった先で相手のことがわかってくるようにはなっている。
最初に相席になる相手を選んだらそのキャラクターのルートに入ってエンディングまで向かう。
途中で唐突に終わるバッドエンドはなく、各キャラクターには6つのエンディングが用意され選択肢によって分岐する。全部で6つでなく、5人のキャラクターに各6つのエンディングだ。
エンディング数は多いものの分岐に関係する選択肢にはアイコンが表示されているから、狙ったエンディングには簡単に到達できるのは親切設計。

これはエンディング回収に迷わなくていい反面、アイコンばかりに気を取られて選択肢の内容をじっくり考えなくなってしまったので、結果として没入感は少し薄れた印象がある。初回はアイコン気にせず選択したらよかったかな。
キャラクターとの何気ない会話でどういう人物なのか、見た目だけで得られなかった情報を得ていく。同時にここがどういった世界だとか、そもそも主人公は何者なのかとかこのゲームの世界観を各キャラクター・各エンディングを経て理解していく構成になっているのがおもしろいところ。
初回ではわからなかったやり取りも、エンディング回収中にもう一度見ると意味のわかることがある。ただ、選択肢を変えても途中の話は変わり映えしないから大体スキップすることになりそうなのは惜しい。
各キャラクター6つ全ての個別エンディングを見ることでそのキャラクターの詳細設定を見ることができるから最終的には全エンディング回収をすることになるんだけど、上記のように共通会話が多いからどうしても作業感は避けられない。ノベルゲームのエンディング回収なんて大体そうだけど。
あとは、テキストの枠が小さくてセリフの区切りが多いから文字送りが結構手間なのは気になった。テキストの出るスピードに変な間があったりして全体的にテンポが悪く感じる部分もある。これらは、自分が早く読み進めたい性質だから余計にそう感じた部分ではあると思う。

一部「ここ人外キャラクターである必要あるかな?」と思う部分はあったけど、コンセプトの人外キャラクターとの会話を楽しむゲームとしてはしっかり作られていた。
壮大な物語とかはない主に淡々と会話する話だから、静かな会話劇が好きで人外キャラクターとの交流に興味がある人にはおすすめしたいかな。


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