ゲーム開発者向け技術カンファレンスCEDEC＋KYUSHU 2024で『「不思議のダンジョン 風来のシレン」における コミュニティ機能とその変遷』という題目で講演が行われていて、一人用のゲームなのにプレイヤー同士を結び付けるコミュニティ機能を充実させてきた背景とそれらが最新作の風来のシレン6にどう生かされているのか語られている。
【講演の主な内容はこちら】
「風来のシレン」シリーズに実装された，ローグライクの先入観を乗り越えるコミュニティ機能の柔軟な発想とは？［CEDEC＋KYUSHU 2024］（4gamer）
講演で挙げられた各コミュニティ機能についてプレイヤー目線から思うところを書いてみる。
風来救助
オンライン機能がない風来のシレンGB2（ゲームボーイカラー）が初出で当時はパスワードのやり取りをしていたのがシリーズを経てオンラインで相手を見つけて救助できるようになり今なお続いている風来救助システム。
死んだらキャラクターやアイテムをロストするルールのローグライト系ゲームは数あれど、風来救助のようなシステムが導入されているものはあまり見たことがない。慣れてくると『失敗したらやり直すのが当たり前で救助されてクリアしても何か違う』みたいな感情が湧く傾向があるから他ゲームで風来救助システムがあってもきっとそんなに流行らないんだろうね。
風来のシレンにはもうお馴染みのシステムとして残っているけど、風来のシレン6では諸々の理由で道具を持ち帰られなくなったり救助ポイントでランキングを競うといった機能もなくなって救助するメリットはなくなっている。
せめてランキング機能や風来のシレン5のポイントショップのような道具と交換できるポイントでも貰えればもっと活用する人はいたと思う。保存の壺や合成の壺、白紙の巻物が交換できるなら欲しい人はいるだろう。
あとシレン5では救助依頼や救助報告時に相手へ定型文メッセージを送れたけどシレン6は何も送れなくなっている。あまり活用されてなかったからかもしれないけどコミュニティ機能としては薄いものになってるなと思う。もう定型文じゃなく自由にメッセージ入力できるようにして救助依頼側から「3Fに神器あるよ！」とか残して救助する側と協力してる感じにできないかな。
オンライン番付
PC版風来のシレン 月影村の怪物から風来のシレン5まであったスコアをサーバーにアップロードしてランキングを競うオンライン番付。風来のシレン6に実装されてない理由は直接書かれてないけど、講演で改造データによる不正スコアの問題が浮上したとあるのでそれが原因なんだろうな。
元々のレベルやギタンをひたすら稼ぐことで伸びるスコアを競うのはあんまり挑戦したいって思えるものじゃなかったけど、シレン6はクリアタイムとターン数というわかりやすいものが出るようになったからこっちでランキング競わせてほしいな。
不正問題があるし、そうでなくても最上位プレイヤーの高スコアがランキングに残り続けてると後発プレイヤーはどうせ無理だと挑みにくいから公式パラレルプレイみたいな期間限定イベントだけでもいいからランキングを競えないだろうか？
問題作成キット
PC版風来のシレン 月影村の怪物にあったフェイの問題を自作・配布できる機能。
コミュニティ機能ではないけど風来のシレン6ではもののけ道場がそれっぽいものとしてあり『これって出来るんだろうか？』を死んだらロストする実践でいきなり試してみるのは怖いから道場で試せるのはとても良い。でも機能がまだ足りていないから改善してほしいんだよね。
もののけ道場で追加してほしいとこざっくり
・デッ怪を出せるようにする
・ボスを出せるようにする
・店フロアの追加、店主が出せるようにする（泥棒の練習）
・自分で鍛えた武器盾を持ち込んで試せるようにする
・特殊ダンジョンルールを適用できるようにする
LIVE機能
携帯アプリ版の風来のシレンにあった自分のプレイを配信する機能。
これをゲーム実況動画や配信が一般的でなかった2007年にあったっていうね。今となっては時代が追い付いてゲーム内機能としては不要になってしまった。
ライブ探索表示
Steam版とswitch版の風来のシレン5から追加された機能でゲーム画面を少し小さくして武器盾や道具の情報を表示できるようにしたもの。
きっかけはシレンの実況配信で視聴者が情報を得られることで配信が楽になるだろうってものらしいけど、配信しなくてもいちいち画面切り替えずに情報の確認ができるのはありがたいから役に立ってる。
パラレルプレイ
同じダンジョンを複数人で同時に遊べるという風来のシレン6の新しいコミュニティ機能。
プレイヤー同士のコミュニティ機能としてはもちろん、RTAイベントで同じ条件で競うとか公式が配布するパラレルプレイにみんなで挑戦するといったイベント的な利用ができるものになってるのはプレイヤー間のコミュニティ機能としてだけじゃなく、運営とプレイヤーのコミュニティ機能としても使えて良い試みだと思う。これもかつてあった早解きキャンペーンの現代版といえるかもしれない。
一人用で失敗したら一からやり直しのゲームでコミュニティ機能を充実させるなんて本来一致しないように思えるのにこうしてシリーズの中で時代に合わせてアップデートし続けている奇跡的だと思う。ローグライトの黎明期を作ったと言っても過言じゃない風来のシレンならではのものだから今後もこの方向性は続いてほしいな。
そして間もなくSteam版シレン6とサントラが配信される。聞けるタイミングが限られる良曲がたくさんあるからサントラは買いだ！
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